カリカリ亭ガリガリ

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド/エクステンデッド・カットのカリカリ亭ガリガリのレビュー・感想・評価

5.0
観れば観るほど多幸感度数が高まっていく、この愛おしくて尊いマスターピースの魅力たるや……完全に2回目以降の面白さが倍々で増していっている。ほぼ同じ構造を持ったフェリーニの『甘い生活』よりも、もう甚だしく好きになってしまっている。いつでも、何度でも、まるでおとぎ話を聞くように心地良い。劇場の皆で爆笑しつつ号泣して、控えめに言っても"僕らは映画が大好きなんだ"ということを再確認する。クソみたいな世界の中で、それでも、友達がいて、仲間がいて、自分がいる。こんな自分のことを待ってくれている人がいて、こんなファッキンな自分でも誰かのことを救うことが出来る。隣には、すぐ隣には、今日も"あなた"がいる。"あなたが喪われなかった"これまでに感謝して、これからを生きていこう。

一緒に映画を作った仲間たちと観た。俺に、彼らと一緒に映画を作らせてくれてありがとう。どこの誰だか知らないが、ありがとう。喪われないでいてくれて、ありがとう。永遠に喪われない魔法を教えてくれてありがとう。この夢から、俺は覚めたくない。だからまた映画を作ろう。だからまた映画を観に行こう。それが甘い逃避だとしても、この夢から、俺は覚めない。
嗚呼、シャロン・テートのいびきが聞こえる……。

(追加シーン、事情を知っている映画ファンはそりゃ泣くよね。タランティーノ、マジのナイスガイだぜ……)