むらむら

ゾンビプーラのむらむらのレビュー・感想・評価

ゾンビプーラ(2018年製作の映画)
5.0
シンガポールの飯テロ映画「ワンタンミー」に続き、もう1作、シンガポール初のゾンビ映画をアマプラ鑑賞。

シンガポールはマレー語で「シンガプーラ」と呼ばれている。

Singa = ライオン pura = 街

つまりはライオンの街という意味なのだが、この作品に当てはめると「ゾンビプーラ」は、「ゾンビの町」。

IMDBで、ゾンビマニアと思しきシンガポール人がレビューを書いてたのを、まずは引用。

「シンガポールからゾンビ映画が出てきたのは嬉しいけど、正直、同じアジアでも、日本や韓国のゾンビ映画に確実に負けてる。

シンガポール人としては残念だけど、この作品を観るなら『新感染』『アイアムアヒーロー』『カメラを止めるな!』を観たほうがいいよ」

俺の感想も、これに完全一致。

ゾンビ映画に慣れたヲタなら、確実に予想の出来る展開が続く。

シンガポール軍のキャンプがゾンビ汚染され、主人公たち三人が命からがら脱出する。

このプロット自体、手垢がこんもり付いた陳腐なものだし、噛まれた仲間がゾンビ化し襲ってくる。仲間同士が疑心暗鬼になってからの内紛、「俺だけは助かるぜ!」キャラの死亡フラグ立てまくってからの破滅など。もう、古塔つみかよ、って言いたくなるくらいどこかで見た設定のオンパレード。

俺、マジでこの映画観てる最中

「もしかしたら、俺、預言者かも!?」

って錯覚してしまったくらい予想通りの展開が続く。余談だが、俺は今年こそはモテまくると預言しておく。

ゾンビ役の大量のモブは結構迫力あって良い。

問題は主人公3人の魅力のなさ。

1.スマホゲーばかりしてる主人公の駄目予備兵「かゆ」くんは、見た目もまさにチー牛ニートで、ハマり役だとは思うものの華がない。

2.最初かゆくんと反発しあう鬼軍曹のリー役は、特に特徴なし。ついでに言うと、キャラ名は「リー」ではなく「うま」にして欲しかったところ。

3.ヒロインのシャオリンは、オアシズの大久保佳代子にしか見えない。

と、こんな感じで、なんとも魅力がない。國村隼を出せとは言わんが、もうちょい華のある役者いるんじゃないかなぁ……。

「生前の記憶が残っている」ってゾンビの設定は、ままオリジナリティあるかな、と感じた部分。

なので、「SASUKE」や「たけし城」みたく、本来の目的から逸脱して、軍の訓練アスレチック施設をゾンビが頑張ってくぐり抜けたり、国歌を聴いたら敬礼して立ち止まってしまったりするのは、ちょっと面白かった。

ただ、せっかく「生前の記憶」が残ってるんなら、夜になったら若手軍人たちは宿舎でシコり始めるとか、男同士で盛りあうといった描写があっても良かったんじゃないだろうか。

あ、でもシンガポールはホモ行為、法律で禁じられてるんだった。

とにかくそんな感じで、「シンガポール初のゾンビ映画」という触れ込みを除けば

「もしこれが、学生の卒業制作だとしたら良く出来てる」

くらいでしかない。

全ゾンビ映画を網羅しなければ成仏できない、って人にのみ★5かな。

「抱腹絶倒! 生き残るのは誰だ!?」ってキャッチコピーはいくらなんでもやりすぎ。全く笑えないし、(ネタバレだけど)この主役三人、全員生き残ってたやん!

■以下、この作品とあまり関係ないゾンビ映画に対するグダグダな語りが続きます■

ホント、「ゾンビ」「サメ」「ループ」って、俺みたいなマニアがいるから、量産され続けてんだよね。

出したら、誰かがお金を落としてくれる、みたいな。

だからこそ、製作者側は、志高く、他にないオリジナルなゾンビ映画を作ってほしい。

同じく、アジアで作られた珍しいゾンビ映画でも、

オーストラリア発の「ゾンビマックス!怒りのデス・ゾンビ」 https://filmarks.com/movies/63069/reviews/99113385

とか

ニュージーランドの人口12万人の街をあげて撮影された「ゾンビ・ホロコースト」
https://filmarks.com/movies/72326/reviews/91947359

とか、欠点はあるけど面白いもん。

マニア的な言い方で申し訳ないけど、俺は、ゾンビを燃料に車を走らせる、とか、ゾンビの前でハカダンスを披露する、みたいな唯一無二の、馬鹿げたアイデアが観たいんだよね。

なので、この作品も、マーライオンの国シンガポールだけにゾンビがゲロを振りまきながら襲ってくるとか、それくらいやってほしかったなぁ。観る人は減ると思うけど……。

ちなみにゾンビ映画、1年半くらい前に

名作「ゾンビワールドへようこそ」
https://filmarks.com/movies/63134/reviews/94270441

の感想で書いたように、WIKIPEDIAのリストによれば、世界中に500本以上存在するらしい。

そのとき、539本と数えたのだが、いま数え直したら、577本。38本も増えてる!

詳細まで追えてないけど、アニメ「がっこうぐらし!」まで含まれててさすがに草。世界中のゾンビマニアが地道にこのリストを更新してると思うと、その姿の方が不気味で、ゾンビ感あったりするよね。

というわけで、「ゾンビシャーク」って映画が存在するくらいなので、そろそろゾンビとサメがループを繰り返す大作が出てきてほしいな、と期待している俺なのであった。

(おしまい)
むらむら

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