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由宇子の天秤のpokotanのレビュー・感想・評価

由宇子の天秤(2020年製作の映画)
4.1
ドキュメンタリーのような由宇子に寄り添った
映画だった。
何が正しくて何が正義なのか。
自分の判断基準を問い詰められる。

教師と生徒の行為の疑いによる最悪の結末となった両者の自殺事件を追うドキュメンタリー監督の由宇子と撮影クルー。
生徒である広美側、先生の和之側のそれぞれの遺族に取材をするにつれて、見えてくる遺族の苦しみとテレビ番組作りの汚さ。

表現の自由といいつつ、忖度。
教育現場の過重労働。
遺族の誹謗中傷と個人情報晒し攻撃で、誰がホントの加害者なのか。
昨今の社会問題を上手く混ぜて観客に提示される。

そして、父親の犯した罪が明らかになり、取材する側だった自分の言葉がそのまま返ってくる。

由宇子のすごいなと思ったところは、否定をしないこと。
どんな相談や話を受けても、生徒のカンニングを見たとしても、責めたりしない。

ただ、中絶させる日の先延ばしとオンエア日。
色んな決断を天秤にかけながらしてきて、そして、最後は自分の罪悪感と天秤にかけたラストは、果たしてあの決断が良かったのか。
萌に車の中で問い詰めたこと、そして、父親に伝えたこと。
「お前どっち側なんだよ」
ドキュメンタリー監督としての信念が揺らいだ。
あの起き上がるまでのワンカットでの撮影、そして最後は自分を撮るとこで終わる脚本がホント上手いなあと思う。
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