はる

アントマン&ワスプ:クアントマニアのはるのレビュー・感想・評価

4.0
好きな作品。鑑賞からひと月経ったが、観た直後の印象は良かったし、『アントマン』『アントマン&ワスプ』といった過去作との違いも好意的に受け止めている。SFの要素は強まったのかもしくは、という見方も出来そうで、あの量子世界の描写はかなり微妙だが、こんなおかしな作品に仕上がって、こちらも楽しめたので良かったと思う。

USでは『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』がほぼ1年前に公開されて、評価を上げていたので、今作がどのように受け止められたのかは気にはなる。できれば日本でもその順番で観られると良かったが、まあお互いの評価に影響することもないか。ただし「マルチバース」はともかく、「悪ふざけ」「くだらないジョーク」みたいな妙なノリの共通点には苦笑いするよりない。

フェーズ5のことについてはあまり意識していない。フェーズ4もカバーできているわけじゃないので。それでもあのマルチバースやカーン(達)の存在、そして量子世界のことまで広がったことで、むしろ考えない方が筋は良さそうな気はする。風呂敷というにはデカすぎる世界観で、そこで楽しめるかどうか。

そんなMCUでアントマンシリーズは家族の物語として確立していくようだ。スコット、キャシー父娘の絆を中心に、ホープの慈愛とも言えそうな態度がヴァン・ダイン家含めて包み込んでいる。今作でスコットは常にホープに救われるし、その構図などはそれこそフェーズ5に貫かれるのかもしれないなと考えたりもする。そういう「女性こそが」というのは『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』で既に示されているので、そのように感じてしまうのかもしれない。

あえて触れると、スコットが量子世界のさらに先に行ったところで「無限の可能性が生じる」みたいな表現は好きだった。ペイトン・リードのやりたかったことなのかどうかはともかく、SFとしてのアレがないと評価は下がっただろう。そしてそこで不可能を可能にしようとするのが「全員が同じ想いだから」というね。アレは良かった。

『GOTG3』ももうすぐで、DCUのこともある(面白くなるとか?)。マイペースで付き合わないとむしろ楽しめない。
公開後に制作スタッフから環境の劣悪さが告発されて、他作の制作の余波を受けた影響があったことがわかった。鑑賞時は長尺を避けるための省略があったかと思っていたが、それだけでもないのだろう。そこは残念だし、下請けスタッフたちの犠牲によってMCUが構成されるのはくだらないことだ。
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