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ドンテンタウンのtetsuのレビュー・感想・評価

ドンテンタウン(2019年製作の映画)
4.2
ムーラボで鑑賞。

新居に越してきた女性シンガーソングライター。
スランプに頭を抱える彼女は押入れから、大量のカセットテープを発見する。
以前、住んでいたという男性が残した些細な記録を再生していく彼女は、次第に彼に惹かれていき...。

ヒロイン演じる佐藤玲さんの魅力にやられる一作でした!
(おかげさまで、その後、彼女が出演している『架空OL日記』を一気見してしまいました...。笑)
後々、調べてみると、去年のムーラボ短編『ドキ死』でもヒロインの可愛さを最大限に引き出していた井上監督の作品だったということを知り、納得。
確かに、クライマックスの長回し歌唱シーンは前作とも共通しており、主人公の切実な想いが心に響く見事な名シーンでした。
また、前作ほどコメディタッチではないものの、登場人物の親密な関係性や映像の透き通った空気感には何とも言えない心地よさも感じました。

そして、綾野剛に似ている(と個人的に思っている)『カランコエの花』の笠松将さんや、音楽プロデューサーとして登場する『1人のダンス』の安楽涼さんなど、ミニシアター界隈に馴染みのあるキャスティングも嬉しかったです。

物語や音楽を産み出すこと。
そんな創作行為の数々が、
誰かへの愛によって産まれること。
その愛が誰かへと伝播していくこと。

ミステリアスな展開や、様々な解釈が出来るラストなど、演出の工夫は多々あれど、「音楽」という題材に対する向き合い方は、とても真摯で分かりやすく、好感が持てる作品でした。
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