へたれ

バビロンのへたれのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
2.1
良かったとこ 大袈裟すぎるプロダクションデザイン
豪華絢爛を通り越して過剰に露悪的なセットや衣装がこの映画のテーマとよくあっていて良かった。出てくるセットはどれも一見本物っぽく見えるけど、無駄に天井が高かったり地下に潜り過ぎたりして、当時のハリウッドを魔界のように描くのに貢献していた。

ダメだったとこ1 求心力を欠いたストーリー
二幕までは、ケネス・アンガーが書いた「ハリウッド・バビロン」と、「雨に唄えば」からエピソードを抜き出したような構成。ビジュアルは飽きないものの、話は退屈なまま2時間ぐらい続く。三幕目でトビー・マグワイアが出てきて急に「ブギーナイツ」のような話になるけれど、ディエゴ・カルバが演じるマニーという役が徹底的に傍観者として描かれているので、人生を転落していく人たちというにしてもカタルシスがない。

ダメだったとこ2 魅力を欠いたキャラクターたち
まず、3時間もやっているのに主人公たちが成功しているシーンがわずかしかなくて、代わりに終始乱痴気騒ぎをしているので、観客は置いてきぼりになる。
マーゴット・ロビーが演じる"It Girl"にせよ、ブラッド・ピットが演じるジョン・ギルバートのような俳優にせよ、ハリウッドで成功したいというよりも、業界でバカ騒ぎしたかった人たちという以上の描き方ができていなかった。
デミアン・チャゼルにとっては、当時の映画人は尊敬すべき偉人でも愛すべき映画バカでもなく、見下す対象なのだということが伺える人物造形だった。

ダメだったとこ3 賞取りを意識しすぎたラスト
「ゴダールの映画史」の下品なパロディみたいなモンタージュがラストにあるけれど、そもそもこの映画から映画業界への愛が感じられないので、取ってつけた感しかなかった。
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