TakashiM

ステップのTakashiMのレビュー・感想・評価

ステップ(2020年製作の映画)
4.2
いい!泣けるーーー!!

かといって決してお涙頂戴系とは感じさせない。
フィクション臭いイベントや、過剰な演出が抑えられており、シングルファーザーの苦悩とそれを助けようとする周囲の人々が、ストレート且つ丁寧に描かれている。
だからこそ、本作は多くの人の共感を得られるだろう。

自分はやっぱり、父である山田孝之さんに強く共感。

仕事面では、花形部署から時短勤務ができる総務部への異動。
総務部を軽んじているわけではないのだが、燃えるような仕事への意欲や責任感など、自分自身を100%全力でぶつけられるようなタスクは無い。

それまでの山田くんは、上司からも目をかけられていたように、バリバリ仕事のできる優秀な人材だったのだろう。
だがそれを全部捨て、育児・家事が生活の中心になった人生。
気持ちではわかっているのだが、仕事との向き合い方は簡単に切り替えられるものではないよね。

そして育児について。
保育園の送迎に急ぐ。洗い物が溜まっている。
保育園の先生に指摘されて初めて気付く、母親と父親での抱っこの違い。

父親には母親の代わりはできないのではないか。。

そんな苦悩を感じさせるシーンでは、もし自分が同じ立場だったら・・という思いが、リアル感を伴って強く考えさせられる。

母親がいないって大変だよね、と口で言ったり想像することはそんなに難しくはない。
そんな誰もが想像できる苦労を忠実に再現し、その上で想像よりも遥かに大変なのだと気付かせてくれる。


そして出ましたヒロスエ!
過去の映画では、何をやってもヒロスエだなーって見てしまったが、今回は違った。
それなりに年齢を感じさせ、アヒル口も封印。
過去に辛い経験を持つ、ちょっと影のある独身女性を見事に表現してくれた。
山田くんの娘のあの一言で、涙が堪えきれなくなるシーンは、その涙が自然過ぎてもらい泣き。。

あともう一人。祖父役の國村隼さんもすごかった。
後半、父として山田くんを励まし、孫の前で素敵な祖父であろうとする姿は、鬼気迫る表情であり、心打たれた。。


なかなかレビューが長くなってしまった。。

家庭は笑顔の工場、という表現があった。
それって、いろんな出来事を支え合って乗り越えた先にあるものなんだよねー。。
まさに、今の自分があるのも家族のおかげ。感謝です。
TakashiM

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