ギズモX

星の子のギズモXのレビュー・感想・評価

星の子(2020年製作の映画)
1.3
日本政府が統一教会の解散命令を請求したことを受けて再鑑賞&再投稿。
とある新教宗教の2世信者を描いた物語。

僕が本作のレビューを最初に投稿したのは数年前で、その時は登場人物の行動や思いに対して"どちらもある"という感想を書いた。
変な宗教を信じている2世とそれに対して嫌悪感を示す先生。
それはクリスチャン2世の僕にとって両方とも馴染みある感覚だったからだ。
でも、そのレビューを投稿した時に何かがガラガラと崩れていくような感覚がして、それに耐えきれなくなって二週間ぐらいで消したんじゃなかったかな。
だけど、例の暗殺事件が起きて統一教会や宗教2世に関する報道が増えたことで、この問題に再び関心を持つようになった。

今になって思うと僕は大きな勘違いをしていた。
それは"僕はクリスチャン2世だから宗教2世の気持ちが分かる"という間違い。
確かに僕はクリスチャンホームで育ち、教会や学校、いろんな人に迷惑をかけた過去がある。
でも、あの宗教団体の話を聞くと(あるよね)という理解よりも(なんでそうなる)という強い違和感を感じてしまうんですよ。
これは新興宗教だけでなく、他のクリスチャンや宗教の信者、無宗教の人、昔の自分を見ても同じ。
でも、違うからと言ってただ単に非難していい訳ではない。
僕は僕。他人は他人だ。
ちなみに自分は他と比べてまともだなんて主張する気はないよ。まともかどうかは他人が判断すればいい。

昔は"どちらもある"だった。
今では"どちらもない"だな。
この映画の主要人物は思考が極端で、話も陰鬱だし、何より内に引きこもりすぎ。
自分の意と異なる人を全否定してシャットアウトするのはどう考えても間違い。
そもそも、僕は被害者思考が嫌いなのになんでこんなものに感情移入しようとしてたんだ?

僕達ダシにして楽しい?
よく考えて。

【余談】
個人的に統一教会の解散命令が請求されたことは万々歳。
統一教会の問題点としてよく霊感商法や高額献金が上げられるが、それ以上に教義による虐待行為や特定の人達を攻撃する政治的活動の方が危険だと思っているからだ。
ただ、この問題は20年前に終わらせておくべきだった。

【追記】
僕が宗教2世を描いた作品で一番心に響いた作品はアレサフランクリンの伝記映画『リスペクト』です。
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