Jun潤

プロミシング・ヤング・ウーマンのJun潤のレビュー・感想・評価

3.5
2021.07.28

アカデミー賞受賞作品案件。
今作が映画監督デビュー作となるエメラルド・フェネルが脚本賞を受賞した作品。

昼間はコーヒーショップで働いているキャシーは、夜には酔ったふりをして寄ってくる男たちに制裁を加え、その人数を数える日々を過ごしていた。
そんな時、彼女の親友であるニーナが自殺するきっかけとなった事件の容疑者と繋がる機会を得る。
キャシーの復讐が始まるー。

これは個人的に難しい作品でした。
キャシーの復讐劇として見ると溜飲の下がるような、胸糞が悪いような、なんだか切なさの残る結末で、
キャシーという1人の女性が強く生きる様を追いかけて見ると、燻って生きていたかのような彼女がその命を燃やして生きる様に胸が熱くなったり。

脚本や演出面でほうと思った点が2箇所ありました。
まずはキャシーが出会ったニーナの死に関係する人々の、それぞれの罪への向き合い方。
言い逃れようとしたり忘れていたり、覚えている上で向き合っていたり。
それぞれの人と出会い、会話をする中でキャシーの過去との向き合い方や今の生き方にも影響が与えられている様が見れて小気味の良さを感じました。

また、キャシーが新しい登場人物たちと出会うたびに画面に大きく出ていた数字も、単純にローマ数字で人数や順番を示しているだけかと思いきや、序盤にキャシーが制裁を加えた男の人数を数えていたのと同じようにタリーマークス(日本で言う正の字)のことだったのは個人的に感動ポイントでしたね。

そして今作では男女の描き方の違いも印象に残りました。
罪を暴こうとする、罪を隠そうとする女性たちの周到に強かに生きている姿、男性たちの下半身でものを考え場当たり的で弱々しく生きている姿。
タイトルの日本語訳「将来有望な若い女性」の姿が、そんな男性たちの姿が画面のそこかしこにいたからこそ、如実に描かれていたと思います。
Jun潤

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