プロミシング・ヤング・ウーマンのnileのレビュー・感想・評価

復讐劇と言ったら『ジョン・ウィック』や『イコライザー』のような血肉の争いというイメージが強いけど、今作で描かれる復讐劇はより身近で起きている問題を扱った不条理。

親友の身に起きた強姦事件で、当時の加害者、関係者を容赦なく制裁していくキャシー。最後は彼女の死を持って目的が達成されるが、復讐劇のラストで訪れる爽快感は無い。アルは殺人罪で逮捕されるもののそれはキャシーを殺した罪であってニーナへの死は余罪に過ぎない。
おそらく、加害者たちにニーナの死の責任を追求しても正当に裁かれることがないから、だったら他の罪を着せてしまおうということなんだけど、ニーナの死がきちんと精算されることなく終わってしまうラストにはモヤモヤしてしまう。このような事件が現実でも起きているんだから尚のこと悔しい。

最後、弁護士の手に渡った証拠が効力を発するのを願うばかり。