喜連川風連

生きちゃったの喜連川風連のレビュー・感想・評価

生きちゃった(2020年製作の映画)
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言えない主人公が主人公。

言葉を発せないのではなく、本心が言えないし、最終盤まで本心が自分でもわかってない。体良くその場を取り繕ってしまう。

日本人の特性として3つ書かれたものがある。
・付和雷同を常とする集団行動癖。
・知的訓練を従順に受け入れる習性。
・外国を模範として真似するという国民性。

これら3つは16世紀後半から17世紀初頭にかけて、日本を見聞した外国人によって記述された日本人の特徴である。

今書いたと聞いても不思議はなく、ゾッとさせられる。

国民性とは何か。言えない、気を使ってしまう、これらは何によって形作られるのだろう。

教育や社会規範によって形作られた日本型教育の末路か?

写真を撮ってと頼まれたラーメン屋の男も内心面倒臭いように思ったに違いないが、取り繕って、写真を撮る。

言えないストレスに蝕まれた兄は事件を起こしてしまう。大麻のせいにしているが大麻に覚醒剤のようなトリップ効果はないので、これもウソだ。

シリアスにみせてギャグ映画かもしれない。

各々が何かを演じている気持ち悪さに満ちている。

友人も、良いことを言っているようで、「良い友人風」を演じているだけだ。

離婚した友人に投げかける言葉としては空虚でなにも、響いてこない。

妻は娘の前でウソをつき、間男は妻に黙って借金をしていた。

風俗でもなんでもやってやると看破した女も死の間際には断末魔をあげた。

取り繕った先にある闇。
犠牲になる子ども。

感動もクソもない、おぞましい現実。
説明セリフは多いが、それさえも最終的には取り繕うための装置に見えてくる。
喜連川風連

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