ジェイコブは生まれたてのヒヨコのオス・メスを見分ける雛鑑別師としての秀でた能力もあるが、それだけでは明るい未来が見えないため、広い農地を買い農業で大成しようと夢見ている。
物語は1980年代のアメリカ、アーカンソー州。ジェイコブが妻のモニカ、長女アンとその弟デビッドを連れ、田舎のトレーラーハウスに引っ越してきたところから始まる。
トレーラーハウスは広くてそこそこに住みやすそうではあるが、近くの病院まで車で1時間もかかるような場所。電気は通っているが、ハリケーンが来た際は避難をしないといけないような危険と隣り合わせ。また「水は通ってるの？」と思わせるような描写もありそのあたりも物語にも関わってくる部分。
そして息子のデビッドは心臓に病気を抱えているためモニカももっと都会に近い所に住みたいと不満を持っている。
夫婦喧嘩も絶えず、はたしてこの家族はうまくやっていけるのか。
そんな所にモニカの母親(アンとデビッドからみると祖母)がやってきて子供たちの面倒を見てくれることになったのだが、このおばあちゃんが料理もできない、文字も読めない、言葉もたまに汚いというなかなかぶっ飛んだ人物。
さあどうなるジェイコブ家・・・！
物語は想像以上に淡々と進み、劇的なBGMや衝撃の出来事といった事も無く、何かドラマチックな事を期待すると肩透かしをくらうかもしれないです。
しかしながら、その“淡々さ”の中で光るのが各役者のお芝居。ジェイコブ役のスティーヴン・ユァンもモニカを演じたハン・イェリもごく自然に夫婦のように見え、途中で一瞬映画という事を忘れ本人出演ドキュメンタリーのようにも思えた次第。
アカデミー賞で助演女優賞となったユン・ヨジョンが演じる祖母スンジャが強烈で、助演女優賞も納得の演技だったと思います。
息子デビッド役の子、アラン・キムも撮影当時は7-8歳？彼の存在感も大きく、映画に深く影響を与えていると思います。
“ミナリ”とは韓国語で野菜のセリの事。たくましく育つそのミナリがこの物語を象徴しており、鑑賞後には食べたくなること間違いなし！(と言いつつ食べたいかは人によります笑)
あと予告編映像に「それは入れちゃダメだろ…」ってシーンがあり、いつかは忘れたけど映画館でそれを見てしまっていた僕は「あのシーンって結末に関わる部分なんだろうな、、、」とずっと脳裏によぎってしまっていたので、これから鑑賞される方は何も見ないか、もし見ていたとしても忘れて観る事をお勧めします。。。(難しい)
2021/11/28(日) TSUTAYA DISCAS定額レンタルにて鑑賞。
[2021-089]
