タキ

MINAMATAーミナマターのタキのレビュー・感想・評価

MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)
3.8
水俣病の実態をライフ誌上で発表した写真家ユージン・スミスの実話に基づく物語。
白人のカメラマンが極東の困り果てたアジア人を救うみたいなストーリーだったらヤダなぁと思いつつ…アイリーン役が美波!ビックリしすぎて一旦録画を止める。ガッツリジョニデと絡む超いい役。多分日本でお見かけしてたのは10代か20代の初めぐらいだろうかアメリカで俳優されてるとは知らなかった。そして脇を固めるのが浅野忠信に加瀬亮に國村隼、そして御大真田広之。日本ユニットのテッパンぶりよ。
ストーリーは前述したような白人の救世主的な感じではなかった。ユージンのカメラマンとしての水俣の人々を見つめる気力が失われ、そしてまたやってみようと立ち上がる、その揺れ動く感情をジョニデが丁寧に演じていたし、カメラをあげた水俣病の少年との交流が特にナチュラルで素敵だった。
ただ、暗室小屋の放火やチッソの社長がユージンを買収したような事実はなく、1971年だと50年ちょっと前ぐらいの話なので生存されている方、直系の子孫の方も多いわけで、確かにチッソのしたことは許されることではないにしてもエモーショナルな脚本と演出が変な誤解を生まなきゃいいなぁと心配になる。このあまりに非道な環境汚染を広く人々に知ってもらうには映画は有効かもしれないけれどドキュメンタリーとは違うことを肝に銘じなくてはならない。
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