ぴよまろ

あの頃。のぴよまろのレビュー・感想・評価

あの頃。(2021年製作の映画)
4.1
2000年代前半を舞台に、バンド活動が上手くいかず絶望していた主人公がハロプロとハロプロオタクの仲間たちと出会い、バカバカしくも楽しい、遅れてきた青春を謳歌する物語。

原作未読&アイドルオタクでもないのですが、とてもバランスのよい遅れてきた青春物語でした。ハロプロきっかけで出会った仲間たちとの物語で、前半こそ存分にハロプロ愛を語る登場人物たちですが、中盤以降、バンド活動、恋愛、仕事といったようにハロプロ以外にも展開し、仲間との日々が深く濃いものになっていく姿が、まさに青春を感じて素敵でした。加えて、男子校ノリに対して一歩引いた目線も作中に登場させるバランスの良さもよいです。

作中で「今が1番人生で楽しい」と語られるように、好きなことを共有することで、人生が救われて展開していく流れがすばらしい。安易な、昔は良かった的な懐古主義・ノスタルジーではなく、ちゃんと未来に向かって前を向いて進んでいく主人公たちが良かったです。コズミンが最後まで前向きだったのが象徴的です。

人生が何か=ハロプロ&仲間たちと出会うことによって救われ、それへの「好き」を共有することで人生が開かれるという一つの青春の形と、「今が一番楽しい」と、未来に向かって開かれたテーマがバランスよく表現された、素敵な作品でした。
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