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MOTHER マザーのdeenityのレビュー・感想・評価

MOTHER マザー(2020年製作の映画)
3.5
コロナの影響があってかなりの期間が開きましたが、久しぶりの劇場鑑賞作はこれにしました。

17歳の少年が祖父母を殺害。なぜその行為を起こすまでに至ったか。
何となく『葛城事件』とかと近い印象を持っていたので、ずっと楽しみにしていた作品でした。

『葛城事件』といえば父親である三浦友和でしょうが、本作はタイトルにもあるように母親が大きな影響を与えています。
学校にも行けせず、家事もせず、働きもしない。パシリのように使い、暴力を振るう。

この最低な女を演じたのが長澤まさみです。まさに怪演ですね。冒頭の傷口をなめる描写から始まり、時に男に媚を売り、時に荒れ狂って怒鳴り散らし、色気もあり、同時に不快感も与え、兎にも角にも圧倒的な存在感がありました。

そしてそんな母親からネグレクトを受けていた周平。根は良い子だし優しいし、きっとやればできる子だろう。せめて周平だけでも。
しかし、いろんな救いの手が差し伸べられるのに、そのどれも取ることはなく、母親について行く。

共依存の関係と言われている。じゃああの子は何に依存しているのだろうか。捨てられることが何よりも怖かったのだろうか。
あの息子を抱きしめたあの場所で、殺しの報告を受けた時の二人の距離感は母子なんてものではなかった気がする。
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