きよぼん

コレクティブ 国家の嘘のきよぼんのレビュー・感想・評価

コレクティブ 国家の嘘(2019年製作の映画)
3.5
「薄くなってました」ってハイボールじゃねーんだぞ(´д`)

ライブハウス「コレクティブ」で起きた火災。運び込まれた病院で患者は細菌感染に冒される。その原因は製造元と病院、はては認可した国までもが絡んで、消毒液が基準より薄いものが国中で使われていたという驚愕の内容。

国の説明は都合良く実験結果を公表し、自分たちを守るために二転、三点する。とにかくかっこ悪い。

担当の保健相の大臣は辞任し、新しい大臣が就任する。新大臣は誠実な人で実行力もありそうだ。だけど、なんだろう?観ているとこれ多分何も変わらないだろうな、という感覚は。

よく「リーダーが変われば、組織は変わる」なんてよく言われる。しかし本作の新大臣の奔走が様々な利権の関係で空転していく姿をみていると、むなしいモノがある。システムを変えればうまくいく、リーダーが決断すればうまくいく、と考えがちだけど、やはり社会というのは一人一人にどれだけ美学があるのか。かっこ悪いよ、それは。と思えるかどうか。システムじゃない、優秀なリーダーでもなく一人一人なんだと痛感した。

問題を追及するジャーナリストはTV番組に出演したとき、コメンテーターから「どこまで追求する気なんだ?」と質問される。

いやー、こういう大人の意見言う人いるよね。

裏を返せば「それでも国が壊れるより続く方がマシだろ?」ということだ。そしてこれは自分も含めて、多くの人が密かに持ってる思いではないか。国がどんなに悪いことをしていても、プラスマイナス差し引きすれば、自分にはメリットがあると考えてしまう。

賄賂を受け渡してる医者たちは「それでも国は潰れない」と思ってる。認可を許可してしまった担当者は「取り消すと国の信用がなくなる」と、大事なものが壊れるという思いがある。嘘を説明する役人は、「国が間違えないことが国民に安心をあたえる」と考えているのだろう。

人は自分が思ってるよりはるかに「国」という幻想に縛られているのかもしれない。そんなこと言ってる自分も、やっぱり国がなくなるよりは・・と考えてしまうヘタレな大人の一人だ。だけど、やっぱり美学は持っておきたい。そんなことするのは、やっぱりかっこ悪いよ、とは、言動に行動に持っておきたいな。
きよぼん

きよぼん