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ライムライトのろのレビュー・感想・評価

ライムライト(1952年製作の映画)
4.2
「君は戦おうとしない。絶えず病気と死を考えている。しかし、死と同じく生も避けられない」


「華やかなライムライトの影。老いは消え、若さに変わる。バレリーナと道化の物語」
かつての名道化師カルヴェロ。彼の芸は時代と共に風化していき、人々は新しい笑いを求めている。自分が必要とされていないことを悟ったカルヴェロは落ちぶれ、酒におぼれる。ある日、彼は自殺未遂を犯したバレエの踊り子テリーを助ける。2人は一緒に生活することに・・・。


「我々は自分を情けなく思いすぎる。誰にだって生きる苦労がある。こだわることはない。忘れるんだ」
カルヴェロもテリーもそれぞれ悩みを抱えている。
カルヴェロは時代が進むにつれ、お客に受け入れられず職を失う。
テリーはトラウマによって精神が病み、脚が麻痺して踊れなくなってしまう。
そんな2人の悲哀のこもった、けれど生きることを諦めない物語。


テリーが生きる気力を取り戻していく姿も素敵だけど、それを見守るカルヴェロが温かい。
彼のラスト舞台。
“ノミのサーカス”がすごく好き。ノミのフェリスはイタズラっ子。カルヴェロの言うことを聞かなくて逃げ回ってしまうというパントマイム。観客の想像力を刺激し、楽しませる道化師っていいなぁとほっこり。


「人生を恐れてはいけない。人生に必要なものは勇気と想像力と・・・少々のお金だ」
「宇宙にあるものが地球を動かし木を育てる。それは君の中にある力と同じだ。その力を使う勇気と意志を持つんだ!」
「問題は生きることだ。あとは考えないでいい」
「なぜ意味が必要なんだ?人生は願望だ、意味じゃない。すべて願望なんだ」
人は年を重ねるごと、命の輝きに磨きがかかっていく。
チャップリンは“生きる”ことと真正面から向き合っていた。


「私のように年を重ねると命が惜しくなる」
「なぜ?」
「生きることが習慣になるんだ」
「希望がなくても?」
「瞬間の命を生きればよろしい。素晴らしい瞬間はいくらでもある」


チャップリンからの熱いメッセージがギュッと詰まった1本でした。
ろ