ひば

スケボーが私を変える アフガニスタン 少女たちの挑戦のひばのレビュー・感想・評価

4.2
ちょうど今日好きな人に私とデートしない?って勇気出して誘って約束して準備できた!ってなった瞬間夢から覚めたのでこの世はクソだなと思っていたところで。過ごせる時間が重なり合うこと、金銭的に余裕があり人目を気にせず過ごせる場所があること、一緒に過ごすなら気持ちが高まる人と、そして結婚するなら好きな人と、そんな些細ながらも当然のように認められる願望が当然のように存在しないとされる世界で全てをすっ飛ばし10代前半で人生の全てを結婚に振り切り強要される虚無感を同時に痛感した。
アフガニスタン。タリバン政権が終わっても女の子は誘拐暴行の危機で外に出ることはできない。男に恥をかかせるという点でも女性が狙われやすいという。自由が13歳までの少女もおり14歳からは家に閉じ込められるそうだ。そんな中開かれた女の子の為の学校。「勇気とは学校に来ること」と教えていて自分の世界とのギャップを感じた。勇気を出してスクールバスに乗ろう。スクールバスは外の世界で少女を守ってくれる唯一の手段。勇気を出して声を出そう。テロが絶えない国の少女たちが文字を読み書きし考える権利は全部彼女たち自身にかかってる。そして悲しんでいる子がいたら寄り添いましょうと団結をぼかすことなく教えていて背負ってる重さの違いがそこにある。
スケート場が併設された通称スケーティスタン教室。スポーツとは縁のない少女たちは目を輝かせスケートボードを掴む。先生は自立した現地の女性だ。優しくありながらも転んで涙を流す子に泣かないでと立たせる。「弱い女の子のふりをする子はいらない」という言葉に少しぎょっとした。あの言葉は少女たち一人一人が当然の権利を奪われない為の力を促すものだった。スケーティスタン教室は女を強くする場所。望む未来までも保証はしてくれないが、それでも将来の夢を持つことを奪わない場所であり、男と同じ世界を生きることへの可能性を提示する場所。学校ではしゃぐ少女たちは私が小さい頃見た光景となんら変わらない。忙しなくころころ変わる表情で頭に浮かんだ言葉でお喋りをして冗談を言って積極的に社会と関わり、私を見てと世界に主張する。そんなことをいつまでも何歳になっても続けられるようにとする考えがアフガニスタンの地に芽吹き始めている。最も原始的緊張は恐怖であるが、それをもたらすものは爆弾ではなく未知への挑戦となる世界の方が望ましい。そういう世界にしていくから、そしたら好きな人が私を受け入れてくれるかの恐怖を一緒に話そうよ。まぁ夢の中での話なんだけどガハハってオチに笑ってくれる世界で一緒に生きていこうよ
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