田島史也

逃げた女の田島史也のレビュー・感想・評価

逃げた女(2019年製作の映画)
3.3
印象的なズームインは視線による独白である。一貫したロングテイクは本作のリズムを作り出す。俳優はとてつもなく大変だろうが。かなり奇異な手法であるが、案外慣れてしまえば違和感を感じない。それどころか、次はどんなショットを見せてくれるのか、という高揚感すら与えてくれる。
キムミニが、3人の旧友と再開し、思想と信条が錯綜する中で、自分の価値観を確かめていく物語。基本ダイアローグなのにエピソードが散漫なのが面白いところだ。それぞれの物語がどこかで結びつくのかと思ったが、一度登場した人物は登場したきり。点は点のまま、線になることはない。それって人生だなと思う。
嗚呼、韓国の田舎ってこんな感じなのか。嗚呼、30代の無常感。色々な舞台で、色々な生き方をする者たちが、悩み、ぶつかり、そして生きていく。ヒューマンドラマの究極形を見た気がする。


映像0.6,音声0.6,ストーリー0.8,俳優0.9,その他0.4
田島史也

田島史也