りっく

水を抱く女のりっくのレビュー・感想・評価

水を抱く女(2020年製作の映画)
3.5
ベルリンの都市の変遷を展示した模型や、水槽の中の潜水士の人形がキーとなり、男と女が出会って恋に落ちている気持ちは確かではあるが、ふたりが過ごした時間がまるで手から水がこぼれ落ちるように消えてなくなる感覚を、現実と幻想の狭間で描写してみせる。

揺れる水面(みなも)に映る美しい光景は、次の瞬間には消えているかもしれない。ただしそれでも、強烈に脳裏にこびりつくようなことがある。本作のパウラ・ベーア演じる女性はファーストカットから危うい存在感を放ち、それが強烈な推進力となっている。
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