Ren

望みのRenのレビュー・感想・評価

望み(2020年製作の映画)
2.5
消息不明の息子に関する究極で最悪の二択。期待値高めで劇場へ向かったのですが、私には正直ハマらなかったです。犯罪×家族 なら、『許された子どもたち』でもっと掘り上げたことをしているので。

私と同じ理由でハマりきれなかったという意見がいくつかあったので、既視感のある意見・感想になったら申し訳ないですが、引っかかってしまった点を3つほど。



《⚠️以下ネタバレ有り⚠️》










・なぜ父親はすぐにナイフを確認しなかったのか?
→ 息子が事件に関わっているかもしれないと判明した時点で、すぐにナイフの有無を確認するのが自然だと思います。それを数日経って思い出すのは少し無理がある気が...。ナイフのミスリードは大きな山場の一つですが、その感動ポイントを後半に持ってきたかったが故の不自然な行動に感じました。

・(映画内だと)妹が若干蔑ろにされている?
→ まず、息子の無実を望む父親と生存を望む母親は、両者に痛いほど共感してしまうほど濃密に描かれていて素晴らしいと思いました。マスコミや職場の人間との関わり方が変わってくるのはもちろんのことですが、それなら同じ家族の一員である妹の葛藤にももっとスポットを当てるべきではないでしょうか?「お兄ちゃんのほうが大事だから...」そう感じるのも当然でしょう。

・結末〜エピローグで語りすぎ?
→ 変わり果てた姿で発見された息子と泣きじゃくる母親、堪え切れず涙を流す父親...の感涙必至シークエンスから急転直下。自論ですが、例えば小説でも映画でも、それが本当に必要なら良いですが、結末を説明するために1から10まで誰かにべらべら喋らせるのは表現方法としてかなり禁忌に近いことだと思っているので、あのラストはかなり冷めてしまいました。あと、事件の全貌が明らかになった時点で観客は息子の性格や人となりを把握することができます。その後さらにエピローグで母親が息子について色々語る場面でも、説明過多な演劇に思えてしまいました。

他にも竜雷太さんグーパンから土下座までが(編集的に)早いよとか警察が事件の当事者からしたら本当にただの無能のまま終わってしまったなとか、細かいことを言うとまだあるのですが。
心打たれた場面も沢山ありました。「何もしなかったら何もできない大人になるだけ」という台詞は現役大学生の私にぐさりと突き刺さりましたし、全編通して演技、特に堤真一さんと清原果耶さんの演技からは、当事者家族にしか感じられないだろう息苦しさが伝わってきて本当に良かったです。
とりあえず石田ゆり子さんのインスタで癒されてきます。
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