だい

僕は猟師になったのだいのレビュー・感想・評価

僕は猟師になった(2020年製作の映画)
3.6
ぼくは猟師になった。

ってフレーズがとてつもなくキャッチー。
このフレーズを聞いて、観てみようかな!?ってならない人とは相容れない気がするまである。


漁師ならともかく、
猟師って現代日本で食っていけんの!?
ってまずそこからそりゃあ入るんだけど。

千松さん、
住んでるのも市街地にすぐアクセスできる裏山程度のとこで、
猟師一本で食ってるわけじゃないから逆に安心した。


めっちゃ荒ぶってる猪とか、
罠って、殺すための罠なんじゃなく捕獲するための罠なんだなとか、
罠にかかったやつが力尽きるまでの耐久戦とか、

僕 ら の 知 ら な い 世 界

たぶんマツコも知らないし、
松尾も知らない。


必死に抵抗してくる猪と、
木の棒で戦う千松さん。

あれ見ると、
やっぱドラクエの初期装備で戦うなんて無理じゃん!
ってわかんだね。

ぼくは檜の棒で大ガラスとかコウモリと戦う自信がない。



命をかけて獲物と戦って、
それを自分で捌いて、
料理して食べる。保存食にする。

人間の原風景なんだよな。


昔ベトナムを放浪してた頃、
地方の小さな町で、
生きた鶏を持ってバスを待ってたおじさんがいたんですよ。

鶏を一回地面に置いた時に鶏が暴れ出したんで、
首根っこ掴んで、何度も地面に叩きつけんのよ。
バス停で。

すっげーもの見たな~、
って思ったんだけど、
でも人間と動物って本来そういうものだと思うから、
現代でも外国ではそういう価値で生活が営まれてるんだと思うと、
何だか嬉しい。


千松さんは、動物が好きだからこそ猟師になったって。
すごくわかる。

動物と人間との関わりを突き詰めて考えたら結局、
人間は動物を食べて生きてきたし、
そうやって生態系は保たれてるんだって気付くのよな。

食糧になる動物に感謝、とかそんなことじゃなく、
まずは「生きていられること」に感謝をするのだ。


世界のプロ市民たちのせいで捕鯨船が激減(というかほぼ消滅)して、
いま太平洋でクジラが増えすぎて、
クジラの餌になる中型魚(マグロとか)が未曾有の資源不足になってる。

「生きていられること」に感謝できているのか?

「生きていられること」に価値を見出せていない人がガーガーガーガー言う世の中だ。
だい

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