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5月の花嫁学校のけーすけのレビュー・感想・評価

5月の花嫁学校(2020年製作の映画)
3.1
1967年、フランスのアルザス地方にある家政学校に入学した18人の少女達と、その教師たちの物語。



原題は『La bonne epouse/How to Be a Good Wife』で、邦題が『5月の花嫁学校』。何が5月なのだろう?と思って調べたのですが、フランスでは1968年5月から6月にかけて、学生の反乱から全国的示威行動やゼネストが起きた出来事との事だそう。
当時は女性には参政権も与えられておらず、この「5月革命(五月危機)」以降急速に女性解放運動が進んだとの事でした。(世界史・歴史、超嫌いだったのですが、もう少しちゃんと勉強しておくんだった…)

そのような感じで、革命前当時のフランスでは良妻賢母がよしとされており、この映画でも描かれるような家政学校があちこちにあったらしい。日本で言うと亭主関白。妻は完全に黒子として日常生活において何から何まで旦那に捧げていたそうな。

そんな未来の旦那の(言葉は悪いが)奴隷とも言うべき「女性=完璧な主婦」を育てるための学校へ、ヴァン・デル・ベック家政学校に18人の女の子たちが入学し、彼女たちや教師のドタバタコメディが描かれておりました。



てっきり生徒達に主役がいるのかと思いきや、話でメインに取り上げられる生徒は4人ほど。
教師陣となる校長のポーレット(ジュリエット・ビノシュ)、修道女のマリー=テレーズ(ノエミ・リヴォウスキー)、ポートレットの義理の妹で料理長のジルベルト(ヨランド・モロー)がどちらかといえばメインの登場人物。

校長の旦那でもある学校経営者のロベール(フランソワ・ベルレアン)は、入学した生徒達を覗き見したり、性欲旺盛なようで「もしかしてヤバい奴???」と匂わせながら、違うヤバいもの(賭博による多額の借金)を残して途中退場…笑

学校も経営の危機に陥ってしまい、校長のポーレットが奔走する中で新たな恋の再会があったり、生徒たちは教師に反発して好き放題やったりとさあ大変、、、といった感じの物語です。



思春期な生徒の女の子たちがキャッキャしてるのは可愛いのですが、色んな出来事、展開にツギハギ感がありどうもテンションが落ち着かない。
レズビアンや、親が決めた相手との結婚を悲観した女の子の話が差し込まれるのですが、深掘りせずにサラっと流されていくのが少しモヤモヤしてしまったところでした。


「どうやって話を終結させるのかなー?」って思っていたら、ラストは衝撃の展開で、、、。これは予告編にも出てるのでネタバレではないと思うのですが、あえて伏せておきます。もう、この映画ってこのシーンありきで作られたんじゃないか?という、それまでの流れからかけ離れた描かれ方がなかなかにオドロキでした。

フェミニズムは近代の歴史でも波のように大きなうねりがあるようですが、その一つとなった時代の話として背景が垣間見えたのは面白かったです。


2021/05/16(日) シネマカフェオンライン試写会にて鑑賞
[2021-046]
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