喜連川風連

スカイ・クロラ The Sky Crawlersの喜連川風連のレビュー・感想・評価

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平和のためには戦争が必要で、戦争があるから人類は平和を保っていられるというパラドックス。パトレイバーの時から変わらないテーマ性。

函南は主人公ではあるが、モブキャラのような存在。

戦争映画で、これほどまでにオフビートで日常を淡々と積み上げる映画を初めて見た。その日常に対して、自分の感情が入り込む隙間が狭く、中東やアフリカの戦争で死んでいく若者に対する感情に近いようなものを覚える。

主人公が死んだとしてもまた、別の主人公があてがわれ、置き換え可能だ。いわば無いと困るが、あることに気づかない存在。

主人公たちは果てしなく繰り返される日常と出撃と似たような人物が登場するニーチェ的な円環の理を生きている。彼の友人は「ここに来て、珍しいやつに会ったことない」と言う。

それは極力、戦争がどっちも勝たないように、同じ人物・同じ兵器を生成しているためだ。

こうした円環を終わらせるために、草彅は彼を撃ったんだろうが、それでも運命を変えることはなかった。

歳を取らない、死なない不幸。茫洋とした毎日。

菊地凛子の声の演技とキャラクターの表情が合っておらず、見ていて辛かったもののアングル・画角・表情が時折、実写に見える瞬間があり、すごい。

CGの中の表情のつけ方、シワの入り方、女が誘う表情、どれをとってもアニメの域を脱していた。
喜連川風連

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