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Bimbo's Initiation(原題)のTnTのレビュー・感想・評価

Bimbo's Initiation(原題)(1931年製作の映画)
4.4
 冒頭のビンボー誘拐の高らかな歌が良いが、組織が何故ビンボーに執着するかは全く無説明笑。
We are the members of do it or die♪
「するか死ぬか」メンバーというネーミングセンス笑、もう明らかにテロリストだ。道を陽気に口笛吹いて歩くビンボー、マンホールの中に落っこちる。丁寧にそのマンホールはミッキーマウスのパチモンに施錠される(フライシャーにとってディズニーがライバルなので)。人生、一寸先は闇ですね。

 そして辿るのはあり得ないほどのナンセンスさ。「メンバーにならないか?」という地下の謎組織の勧誘を、もちろん気味が悪いので断ると、いろんな方法で虐められる。脚本術もビックリな展開、こんなことしたら作品が瓦解しかねないが、これを通せるのがアニメであり、フライシャーのナンセンスさなのである。もうあとは逃げ続けるだけなのだ。悪夢よろしく上手く逃げられなかったり罠にはめられまくったりする。足をすくわれもがく気分、こういう悪夢表現好き。そんで果てに待つのはベティ・ブープ(元々ビンボーの恋人役なので犬だったが、その犬っぽさは耳だけであとは人間に近いデザインになってきている)。ベティが「メンバーにならない?」と言うと、鼻の下のばしてニヒニヒ笑うビンボーは「Yes」と快諾。すると例のメンバーが衣を脱ぎ捨てるとみんなベティで、なんか踊り出してハッピーエンドに!書いててわけわからんけど、まさに夢の手のひら返しですよこれ。たまに悪夢だと思ってたけど気がついたら全然そうじゃなかったみたいな夢、そのまんまだ(つげ義春の「ヨシボーの犯罪」の、罪の意識から逃れてたのに気がつくとヨシボーは晴れ晴れしい顔をしているみたいな。ヨシボーとビンボー、…まさかね)。
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