未島夏

君が世界のはじまりの未島夏のレビュー・感想・評価

君が世界のはじまり(2020年製作の映画)
4.4
近いようで遠く、遠いようで近い。
この映画を観ている時も、観終えた今も、そんな事を思う。



彼女達、彼達が感じている「淀み」と同じものを、自分もあの頃散々感じてきたのは間違いないのに、自分は彼女達、彼達ほど本気でそばに居る人へ眼差しを向け、相手の気持ちを想像しようとしていた自信がない。
きっと、いや間違いなく、出来ていない。



自分に足りないもの、どこかで落としたものを、この映画の彼女達、彼達は全部持っている。
全部スクリーンに映っている。
目の前の人へ、死力を尽くして眼差しを向けている。
正真正銘、生きている。

眩しいなんて上っ面な言葉では絶対に片づけられない様な、尊敬と羨望で彼女達、彼達を見た。



なぜ自分は薄っぺらいと感じるのかを、今までずっと考えてきた。

疑問の正体は未だ掴み切れないけど、この映画はそれを解くために今後もきっと必要になる。

自分の心から欠落したピースとなり得る「マスターピース」だ。
未島夏

未島夏