Big Fan(原題)の作品情報・感想・評価

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GreenT

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3.0
ポールはフットボール・ファンで、ニューヨーク・ジャイアンツがホーム・チーム。親友のサルと、地元での試合は欠かさず観に行く。とは言っても、チケットは高くて買えないので、チームのジャージーを着て、スタジアムの駐車場に車を停め、会場に向かう人達に囲まれながら雰囲気を味わい、そのまま駐車場で持参したTVで試合を観る。

ジャイアンツって、野球じゃなかったの?なーんて思っちゃうくらいスポーツに興味のない私なので、調べました。野球のジャイアンツは元々ニューヨークだったのが1958年にサンフランシスコに移動したらしいです。そんな小ネタはどーでもいいのですが、この映画ではアメリカの熱狂的なフットボール・ファンの生態が浮き彫りになって面白いです。

ポールは立体駐車場の料金所で働いていて、中年過ぎても母親と暮らしている。ニューヨーク州住まいとは言っても、彼の住むスタットン・アイランドはマンハッタンから遠い田舎。ガールフレンドもなく、いつまでもミニマルな仕事しかしていないと家族から心配され、蔑まれるのが疎ましい。

そんなポールの趣味は、ラジオのスポーツ・トークショーに電話してジャイアンツのことを語ることなんですけど、チビデブでハンサムでもないポールが、この喋りだけはすごいんです。駐車場の料金所でラジオを聴きながら、その夜喋る内容をノートに書き付けて、家に帰ったら速攻電話するのが日課。DJ のスポーツ・ドッグにも気に入られていて、ライバル・チームのフィラデルフィア・イーグルスをディスり倒す(笑)。

このトークが面白いんだろうけど、スポーツ分からない私には「?」なのですが、いずれにしろこのスポーツ・ファンの生態は興味深かったです。

ある日、ポールとサルは、地元のピザ屋でピザを食っていると、向かいのガソリンスタンドにジャイアンツのクォーターバック、クアントレル・ビショップがいることに気がつく。この選手をアイドル視している2人は、ビショップ選手の車を尾行する。車はステイプルトンという怪しい地域に行き、その後マンハッタンのストリップ・クラブに移動する。

このステイプルトンがカリフォルニア州のコンプトンみたいな怪しい地域で、どう見てもドラッグ買ってるとしか思えないんですが、なぜかそういうことに疎いポールとサルは、お金もないのにマンハッタンのストリップ・クラブまでビショップについていく。

ここでも何気にマンハッタンの駐車場がないところとか、ポールとサルみたいな貧乏くさい人は雑に扱われる様子なんかが面白いです。

あとこのビショップ選手が、高慢ちきないや〜な感じのスポーツ選手に描かれていて、ポールやサルは、自分たちが大ファンだって言ったら喜んでくれると思いきや、ステイプルトンから後ろについてきたと解ると、急に暴力的になってポールは半死半生の目に合わされる。

奇しくもポールの役が、『ヤング・アダルト』で観たばかりのパットン・オズワルドで、この人は高慢ちきな運動選手にボコボコにされる「冴えない男」の典型的なイメージなんでしょうかね。

熱狂的なファンを描く映画って言うと、ファンの方がだんだんストーカーみたいになってきて、選手の方が命の危険を感じる、って流れかな?って思ったんですけど、この映画はそうじゃないんですね〜。

ポールの心境が意外、っていうか、スポーツ・ファンなら納得なのかな?彼は、ビショップが出場停止になってジャイアンツが勝てないと困るので、ビショップをかばうんですよね〜!!

あと面白いなあって思ったのは、ラジオのスポーツ・トークショーでいつもディスっていたイーグルスのファンが、ビショップの暴力事件の被害者がポールだって突き止めちゃって、「自分のアイドルにボコボコにされるなんて」って爆笑するんですね。それがポールにはすっごく恥ずかしいみたいで、暴力を振るったビショップを「ああ、本当はひどい人間だったんだ」って思うんじゃなくて、「憧れの選手に暴力を振るわれた自分はやっぱ負け犬だ」みたいに思ってしまう。

そしてラスト、ポールはどうするか?

映画として撮影が良いとか編集がシャープとかそういうことはないので、途中ダレるかもしれませんが、スポーツに興味のない自分でも納得させられるようなアメリカのスポーツ・ファンの生態が興味深い映画です。

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