ぴよまろ

ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれからのぴよまろのレビュー・感想・評価

3.8
田舎町に暮らす若者が、ラブレターの代筆をきっかけに、その男女のの仲を取り持つことになった主人公が、次第に自身もその同性の彼女に惹かれていく、コメディ青春作品。

主題は青春、副題を多様性に置いた、新時代にふさわしい青春コメディでした。そして、いろいろな事情を抱えながら、田舎からの脱出を考える若者たちというテーマが、世界共通の普遍的なものとして面白かったです。Netflixでないと出来ないであろう、斬新なセンスと普遍的なテーマが、いいバランスで同居する作品。

田舎という、多様性からは正反対の場所を舞台にすることで、主人公エリーの、民族的・性的マイノリティを抱えながらも、自分の好きなことに打ち込んでいくという物語は魅力的です。対するポールも、田舎の若者そのものなんですが、どこか未来を感じさせる姿は観ていて安心しました。未来を感じさせる青少年が、自分の道を見つけていくという物語は、どうあっても面白いものであり、そこに至る経緯を、鋭い切り口で語るところに、本作の魅力が詰まっていると思います。

また、内容に直接関係ないけれど、ポスターがとてもよいですね。中央に主人公たちが思いを寄せるがボケていて、それを後ろで観ている主人公。本作の内容をシンプルに表していて、素敵です。

恋愛映画というより、未来を感じさせてくれる青春映画。そして副題(いつもは邪魔になりがちですが笑)の「面白いのはこれから」という言葉に、本作のメッセージがあるように感じました。
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