肉鹿

TITANE/チタンの肉鹿のレビュー・感想・評価

TITANE/チタン(2021年製作の映画)
5.0
幼い頃、交通事故により頭蓋骨にチタンプレートが埋め込まれた32歳ダンサー。彼女はそれ以来<車>に対し異常な執着心を抱き、危険な衝動に駆られるようになる———カンヌ映画祭パルムドール受賞作。

「RAW 少女のめざめ」が大好物すぎたので興奮冷めやらぬまま行ってきた😆

運良く最終上映日だったことにも運命感じてしまって、面白いのは当たり前。心に深く刻まれる作品になって欲しいとまで昂った気持ちをあっさり上回り、脳天を串刺しにされるような衝撃と常識が壊れていく快感に血が出そうなほど拳を握り締めてた。もしもそれで流れる血が真っ黒になってたらどうしようと寒気までした。

前作の「RAW〜」以上にファンタジーで神話的なお話になってるから受け付けない人もたくさんいそうだけど、意外と日本人は受け入れやすい土壌は整ってそう。江戸時代からタコとの性交を描き記すような民族だしね😂そのリスペクト(?)で主人公はかんざしを使ってるしね!

それに車との関係性もおもしろい。
最初は絶対認められない相手との子供を守ろうとする母性から突き進んでいるのかと思いきや、すこし違うことにこっちまで不安になる。
もしかしたら寄生蜂のように一方的に卵を植え付けるタイプの生殖行為で愛情はなかったのかも?と考えたけど、ラストで全部杞憂に終わってほっとした。抱えられたのがたくさんのミニカーだったらそれはそれで衝撃的だけど、感動はしなかったしw

そう、ラストがとにかく感動的で涙まで出てきた。他人と他人があらゆる関係をひと通り経験したうえで、家族としての確固たる絆にたどり着いたようでかっこよかった!前作が血の繋がりを意識した話だったのに、今作は真逆ていうのも熱い!監督の平等性が浮き出てるよう👏
そしてすべて終わりドン!と出るタイトルバックが目が痛いほど白かったのも神聖なものを見た気分が増していくようで、本能に訴えかける素敵な演出!やっぱりぜんぶ上手いや、才能の桁が違う。同じ時代に生まれたおかげで最新作の発表をまだかまだかと待ち焦がれる時間をくれてありがとう、と感謝したくなるほどの才能👏

あと好きなシーンはマッチョ消防士たちに"笑われる"ために踊らせられるけど、本気のセクシーダンスでみんなあっという間にシュンッと目を逸らし出すシーン。
あれで強さが完全に逆転しちゃってたし「そういうのじゃないんだよ…。でもすげえな」ていうマッチョたちの心の声が太文字で浮かび上がってくるような鋭い観察力と切り取り方はやっぱり天才。
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