じゅ

避けられる事のじゅのネタバレレビュー・内容・結末

避けられる事(2010年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

おい引くほど難解だな
片田舎の町並と山と川であれだけファンタジックに演出するのはお見事なんだけども

モノクロとカラーが使い分けられてたな。
エドモンド楊作品はこれの他は『Malu夢路』しか観たことないんだけど、この方の作品にはおなじみなんだろうか。
ぱっと見、ナオコ(杉野希妃)視点がモノクロでサユリ(篠原ともえ)視点がカラーということかなと思ったけど、最後の最後に逆転してた。どう捉えたものか。

亡くなったというヨウスケがサユリの店をたまに手伝ってたこととか、カラーの時に2度出てきたヨウスケらしき男性の幻、それとサユリが呟いた「なんでヨウスケが死ななきゃいけないか解んない」という言葉を思うと、サユリとヨウスケができてたと解釈できるだろうか。
加えて、川が流れるカラー映像はサユリとヨウスケの間にできた子供が"流れた"と捉えれられるかも。
立て続けに大切な人を失ったサユリが、東京で好きなことをしている(少なくともサユリはそう思っている)ナオコを羨み、東京での暮らしに興味を持つというのも解らんでもない。
腹をさすりながら流産した子供を想って、それと事故死したヨウスケを想って、生きるって難しいよねと言い残し電車に飛び込んだらしいサユリ。このシーンの映像がモノクロだったのは、ナオコへの虫の報せ的なものと捉えてよいだろうか。
一方でナオコ、一夜を共にしたらしい男性を寝かせたまま洗面台へ。鏡への落書きは、ナオコの絵が好きだったというサユリへの弔いだろうか。それとナイフで髪を削ぐ行為は、シンジの夢の話により最上級の悲しみを表すアイコンになっている。サユリの死を報せるものと思しき携帯電話の着信が来たときに映像がカラーになったのは、...なんだろなあ。。サユリが見てたんだろうか。彼女、死んだ後も夢を見るのかという疑問を持っていたけど、夢を見るための魂は残るという前提を示唆してたんだろうか。
このカラー/モノクロ切替って大事な要素なんだろうけどようわからん。

タイトルの『避けられる事』。可能であることを表す助動詞なのか、受動態なのかなんて考えてたけど、英題だと『Exhalation』になるのか。辞書引いたら発散、蒸発、息を吐き出すこと、呼気、蒸発気、発散物って出てきた。つまり...?
ナオコには、町の閉塞感から"避けられる"先の渋谷があり、憂さを"発散"するための相手を手軽に調達してくる環境もそれを実行する奔放さもある。一方サユリにはそういったものが何もない。そう思うと前者の意味での『避けられる事』だったんかな。
サユリには訪れて、ナオコには訪れなかった結末を指しての『避けられる事』みたいな。
じゅ

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