じゅ

死霊館のシスター 呪いの秘密のじゅのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ワーナーブラザーズのロゴがばらけてニューラインシネマのになるの地味に好きだったのに
今回直接ニューラインシネマじゃん。
まあいいけど。


1956年フランス。教会の中で突如神父が炎に包まれて死んだ。ルーマニアから続く聖職者の連続死。それは何者かがどこかを目指す旅路をなぞるように続いていた。かつてルーマニアの修道院で修道女を皆殺しにした悪魔と戦ったシスター、アイリーン。枢機卿に命じられ、一連の事件の調査にあたることになった。フランスへ向かう列車には、見習いのデブラが勝手に同乗していた。
"フレンチー"ことモリースは、かつて神父と見習いシスターと共に悪魔と対峙した農夫。今はとある学校でお手伝いをしている。学校はかつてワイン蔵で、その前は修道院だった。生徒のソフィは学校で起こる怪異の恐怖を相談できずにいた。時折姿を表す修道女は神を愛する者には見えなかった。
アイリーンらは、一連の被害者が守護聖人ルチアの子孫にあたることを突き止めた。それは火炙りで燃えず眼球を抉り取られた聖人、両の眼球は聖遺物としてある修道院に埋められているとのこと。教皇庁の図書館の司書の仮説では、事件の黒幕の悪魔はかつて天使だった。神に叛いて力を奪われ、その力は聖人に分け与えられたという。悪魔は奪われた力を取り戻そうとしており、それが宿るルチアの眼を探し求めていると考えた。ルチアの目が埋められた修道院は、ワイン蔵を経て今は学校になっている。アイリーンとデブラは学校へ急行した。
モリースに宿った悪魔はついに牙を剥いた。校長を殺し、ソフィらに襲いかかった。そこへ駆けつけた2人の修道女。悪魔に意識を掌握されたモリースを気絶させ、その間に聖遺物を見つけ出した。しかし悪魔はアイリーンから聖遺物を奪い取り、力を取り戻した。悪魔に炎を放たれるアイリーン。その時、彼女の瞳もかの聖人と同じ色に輝いた。それは、他者には見えないものが見えたという母と同じ目。その母の祖先、今目の前で光るシラクサの守護聖人のものと同じ目。その聖人に起こった奇跡と同様、アイリーンの身を焼かんとした炎がたちまち消えた。モリースの中に残る自我が悪魔に抗う。その間に、アイリーンとデブラは蔵の樽から溢れ出たワインに手を添えて祈りを捧げた。それは奇跡を信ずる者にはキリストの血。ルーマニアで悪魔を退けた聖遺物のように、そのワインも悪魔に対抗する力となり、"キリストの血"を浴びた悪魔は絶叫と共に消滅した。
我に返ったモリース。ソフィらと共に立ち去る背中を、アイリーンが見送る。

時は流れて現代。バチカンからエド・ウォーレンに緊急の連絡が届く。


そういえば、フレンチーに宅配届けた女の子(?)はどうやらヴァラクに首へし折られたのに全然顧みられなかったな。あの家に何かの用事で寄った人が先か、目を覚ましたフレンチーが先か知らんけど、あんなの誰かしら見つけて大騒ぎになるて。なってくれや。カットされた?

バーク神父は前作との間にコレラで亡くなったんだって。炎で十字架を描く大胆ファーザー、悪魔には勝てても細菌(と歳?)には勝てないかー。
だからってアイリーン1人に行かそうとするのはずいぶん鬼だな。デモニックな何かが絡んでる気がするけど確定的じゃない、ってんならまだしも、ルーマニアの悪魔が復活したらしいっていう前提を置いた上で行かせるならもっと人寄越そうや。まあ依頼してるのは「調査」であって、祓えって言ってるわけじゃない(から危険なことに身を投じなくていい)かも知れんけど、何があるか分からないじゃないか。

そんなシスター・アイリーンが「Demon!」って言って憑依フレンチーにルチアの目が入った銀容器を掲げるところ、最初からやろうぜって思ったけど、まあ確かに眼球入り容器を拾ったところでどうすりゃいいか誰もわかんないな。
と思う反面、冒頭の方でぬかるみに嵌った車のタイヤに最初から荷台の木の板を噛ませない辺り、あの子ちょっと出し惜しみするタイプなのかもしれん。塔から釣鐘が落ちてきて周りが何も見えないくらい土埃が舞う中を走って突っ込んでく度胸はあるのでやればできることはわかるけど。ジェラルド・バトラーか!って思った。
でもでもさらにその一方で、相手がフレンチーの皮を被ってるところが一番でかいかなとも思ったり。ソフィの親友であり理解者、みたいなところはアイリーンは知らんかもしれんけど、フレンチーはアイリーンとも仲良しで何より命の恩人だもんな。司書さんが、何を犠牲にしてでも倒せ、みたいなことを言ってたけど、俺らがわからないところで躊躇してたのかもしれない。
あの容器、ソフィがぎゅっと握って発光してからが本番みたいなかんじあったけど、聖遺物の何らかの効力を発揮させられるとしたらその人はアイリーンであった方が流れ的に綺麗だったんじゃないかな。実は聖ルチアの遠い子孫でしたという設定もその後に開示することになってたんだし。まあでも、何を思ったところでタイッサ・ファーミガがIMAXスクリーンに映ってる最高の状況の前では全てどうでもよくなっちまうんだよな。


アイリーン、ラストカットでフレンチーを見送るとこの複雑そうな表情が気になる。何か気付いてしまっただろうか。
前作の最後、フレンチーが悪魔祓いを受けてる映像資料をエドが講義で流すっていう後日談があったけど、たしか今作のどの場面にもあの映像にあたる部分はなかった気がする。ということはヴァラクはおそらくまだフレンチーに憑いてると思ってるけど、記憶違いとかあるだろうか。無いと言い切る自信はない。
少なくともヴァラクはまだ地獄に帰ってないもんな。フレンチーの後もいろんな人を転々として英国のエンフィールドまで行くんだもんな。ここまでくるとアイリーンには生涯の敵みたいなかんじになるかもしんないけど、もう暫くしたら米国にロレインとかいうとんでもねえ女の子が産まれて、とんでもなさすぎて夢の中で名前吐かせて、とんでもなさすぎて一発で地獄に叩き落とします。お楽しみに。


蛇の侯爵ヴァラクちゃん。ちょこちょこいけすかねえけど、やっぱ元々のビジュアルがかっこよすぎるあまり許せてしまうんだよな。

額縁から飛び出してくるのと山羊だけはどうも好かん。
膜状のものから飛び出すのなんて『ハリー・ポッターと賢者の石』のニコラス・フラメルとクローネンバーグの『ビデオドローム』のディレクターズカット版のパッケージくらいにしときなさいよ。
山羊は単純に見た目が好かん。子供らの間であの礼拝堂のステンドグラスの山羊が悪魔だって言われてたか知らんけど、そんなことよりヴァラクちゃんあなた分身みたいなことできるんだからそっち積極的に使ってや。そういえば、見習いシスターを分身体が取り囲むやつと、校長室を覗き込んだら奥に立ってるやつ、予告編の段階からカット&変更されてたな。めっちゃあれ見たかったのに。

ちょいちょいそんな不満はあるけど、でもヴァラクちゃん素でかっこいいので総合的には良いんだよな。
冒頭の教会のとこから既にかっこよかった。何かぐつぐつ沸いてて立ち上った煙みたいなのがうっすらヴァラクの姿になるとことか、その後教会を背に立ち去るフレンチーの影がヴァラクになってるとことか。焼き神父ももう無茶苦茶すぎて好き。ただ、万が一このシリーズを続けるなら、過剰に派手にし過ぎるのは注意していただきたいとは思う。このシリーズ、くたびれた静かな夜にぴったりな落ち着き具合が好きなので。
煙のもそうだけど、ばらくちゃん自己主張のセンスが良いところが素晴らしい。セルフプロデュースに長けてる。並べられてる雑誌のページを風でめくってってモザイク画を作るところは感動した。ポストカードにしてくれ。あと学校の階段の壁にヒビとか汚れで描いた自画像もめっちゃいい。ちょっと弊社の階段スペースの壁にも描いていかない?
まあでも、ウォーレン家みたいな廊下の向こうに突っ立ってるカットがあったけど、結局あれが一番かっこいい。あいつ何もしてない時がまじでかっこいい。フィギュアになれ。


あと単独調査を命じた枢機卿に「No」って2回も言ったったアイリーンは立派だった。結果はどうあれそういうとこ見習いたい。
じゅ

じゅ