じゅ

オペレーション・フォーチュンのじゅのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

ウクライナの研究施設から何かが奪われた。何が強奪されたかは不明。何者が強奪したかも不明。英国は誰が何をなぜ奪ったかを探るため、そして奪われた何かの奪還のため、民間の工作員オーソン・フォーチュンを呼び寄せた。オーソンは仕方なくバカンスを切り上げ、サラ、JJ、依頼者のネイサンとチームを組み、強奪された謎のブツ「ハンドル」の捜査を始めた。目的物が武器商人のグレッグの仲介で取引されるとの情報を掴むと、彼が大のファンであるムービースターのダニー・フランチェスコをも巻き込んだ潜入捜査へと発展した。
一方、別の何者かに雇われたマイクの部隊も「ハンドル」を狙って動いていた。同じ安保のためのチーム同士ながら、オーソンの行く先々にマイクが現れては邪魔をして手柄を奪おうとする。ついには、「ハンドル」の受け渡しの場を強襲し、オーソンもろとも取引の関係者たちを皆殺しにしようとした。
「ハンドル」とは、コンピュータ操作のあらゆるものに侵入できる「プログラマブルAI」なる代物だった。買い手はトレントとアーノルド、シリコンバレーのバイオ業界の巨人であった。マイクは彼らに雇われていた。貴金属の金を買い集めている以外に怪しい動きは見られなかったが、世界全体の金融システムを崩壊させてあらかじめ買い占めた金で富を独占することが彼らの目的だった。
トレント、アーノルドの両名と、ハンドルを強奪したマイクのチームとの取引の場へ、オーソンが突入する。先んじてグレッグが取引に割り込んだ。オーソンらは、グレッグの脅しのネタを掴んで仲間に引き入れていた。売手と買手が目の当たりにする老獪グレッグの脅威。ミサイルを意のままに操り、トレントやアーノルド、マイクの身内の名といつどこにいたかの情報を調べ上げて見せる武器商人の恐怖に直面し、仲間割れが始まる。銃撃戦の後に到着したオーソンはハンドルを回収し、ついでにマイクを張っ倒して去っていった。

静かな脅威を見せつけたグレッグを師に、次の映画の役作りをするダニー。
オーソンらに36時間後の新しい仕事を任せようとするネイサン。なんやかんやゴネて1週間のバカンスに出るオーソン、サラ、JJ。


終盤でオーソンが突入してJJが狙撃で援護するくだりめっちゃかっこよかったな。てかライフル持ちJJずっとかっこよかったわ。ライフル持って狙撃地点までめっちゃ走るっていう、敵をバスバス撃ち抜く華やかな姿の前の泥臭い姿が好きなんだ俺は。一番好きなとこはグレッグの手先のベン・ハリスをオーソンが崖から落としたところの「That's Ben Harris」だけど。
ステイサム、もう敵をどつき回すシーンは回想と第三者の語りで済まされるようになったのな。オーソンがサラの指示を間違えたせいであんな凶悪スキンヘッドと鉢合わせる羽目になった警備員たち、かわいそう。そういえばあの凶悪スキンヘッド、マイクの部下のヴィンセントだったかをグレッグの船から放り出してたけど、あいつ生きてんのかな。水上バイクに乗っけてとはいえ、気絶させられてたし落っこちててもおかしくないよな。オーソンまじで、たまたま政府に雇われたから人類に利してるだけの快楽殺人鬼で好き。


ステイサムまじ、幼い頃なんとなく憧れた(刃牙みたいなこと言うと、おそらく小さい男児の誰もが憧れる)めちゃくちゃ型破りでめちゃくちゃ強い自分像に近い気がする。だから好きなんだろうな。彼は、20と幾年前の俺の理想像たる今頃の俺の代わりに輝いてくれてるんだ。
「近い」と表現したのは、まあほんの若干は異なる部分があるってわけで、髪がないところ。そらあ髪を無くす事情があるような病気でも何でもなかった少年が、そんな人生の延長線上に髪のない自分像を思い描かんわな。髪ないヒーローとかいたら影響受けてたかもしんないけど、アンパンマンくらいしかいなかったし、あれ人外だし。『ワンパンマン』とかまだなかったし。彼は、それはそれで20と幾年前の俺の理想像たる今頃の俺の代わりに輝いてくれてるんだ(頭)。

まあ髪あった方がいいかというと、どうかなってかんじ。『PARKER』とか『ハミングバード』とか見てると彼は髪に武力を吸われてることがわかる。
そういう問題じゃなくて、『PARKER』しか例がないけど実際髪ありより髪なしが好き。見慣れてるからかな。前者はかっこよさ100で後者はかっこよさ130。あと髪なしの方がどっからどう見てもステイサムって分かるので良い。全方位フォトジェニック。

ちなみに今作では走るステイサムの顔を銃身に付けたカメラで撮ったショットがベストステイサムだったと思ってます。


それにしても、計算機で動く類のものなら何でも掌握できるようになるっていう兵器はすっかり敵に狙われる定番の1つになった気がする。情報兵器とでもいうだろうか。仮にそう表記してみる。俺らの世界でももしそんなのがあったら怖いなと思われないと物語に迫真性が出ないと思うので、裏を返せば実際そんなのがあったらとてつもない脅威になると認識されるようになったわけだ。
冷戦の頃から描かれる核兵器とか、宇宙開発が目まぐるしく発展した時代からたぶん登場した人工衛星転用の兵器とか、計算機が発達し出した時代に生まれた暴走するコンピュータ(スカイネットみたいなの)とか。そんな具合に、人類に牙を剥いて一発で世界を仕留めるような兵器は物語の中で時代を反映して様々な形を取ってきたと思ってるけど、そんな錚々たる面々の1つに仲間入りした情報兵器(仮)。暴走するコンピュータ枠の弟子とか子みたいなもんだろうけど、ターミネーターとかは脅威の種類としてはフィジカルのもんで、最近の乗っ取り云々のはバーチャルの脅威という点で明確に違うと思ってる。もしかしたらあの時代では思ってなかったくらい、現代は相当バーチャルに依存する世界に変貌してきたのかも。

それはいいとして、そんな兵器の取引に加担する人たちの神経は正直疑う。買い手が悪用したらおまえらにも甚大な影響が及ぶんじゃないんか。グレッグにマイクに研究施設への襲撃者たち。これから世界中の金融システムを崩壊させたろうとしてる奴らを相手に、金融資産で取引するのなんでなん?売り手連中はそもそも使用目的知らんかもだけど、グレッグは知ってたよな。マイクはどうだっけ。まあ、少なくとも、グレッグの正気を疑います!金塊もらいなさいよ。いや金塊もらったところでこれまでの商売のネットワークは壊滅するど。

まあでも、廃ホテルとかに次々ミサイル落として近親者の行動履歴リストを配るのはまじでかっこよかった。フセインとかにもあれやったんかな。


あと、そんなグレッグを真似したダニー・フランチェスコの新作映画な、あんな大事そうな場面に出す日本人キャストはもっとちゃんと選んでくれ。
じゅ

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