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ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜のmaverickのレビュー・感想・評価

4.0
ウィル・フェレル、レイチェル・マクアダムス共演のNetflix製作映画。

ユーロビジョン・ソング・コンテストという、欧州放送連合によって行われている毎年恒例の音楽コンテストが題材。ちなみにユーロビジョンの著名な優勝者はABBAやセリーヌ・ディオン。欧州では長年国民に親しまれてきたメジャーな音楽イベントであり、それだけに劇中の力の入れようは本格的。ウィル・フェレル、レイチェル・マクアダムスが演じる音楽ユニットの曲の良さはもちろん、コンテストに出場する各国代表の曲とパフォーマンスもクオリティが非常に高い。劇中では短いシーンでしか流れない曲もフルで聞きたいくらい。ユーロビジョンの大会に参加する各国代表なのだから歌が下手だったり、曲がイマイチでは説得力がない。そこらへんをよく分かっている。

ウィル・フェレルとレイチェル・マクアダムスのユニット名は、ファイア・サーガ。ユーロビジョンで優勝することを夢見て地道に音楽活動にいそしんでいる。とはいっても、いい歳して芽も出ておらず。ウィル演じるラースは実家に入り浸り、そこで曲を作りながら酒場でコピーバンドとして活動する日々。ピアース・ブロスナン演じる父親には、もう夢は諦めろと言われ続けている。レイチェル演じるシグリットは美人で芸術センスに溢れ、街の人々にも好かれる優しい女性。でも小さい頃からラースの虜で、彼のせいで人生を半ば棒に振っていると言われてしまっている。北欧伝説を崇拝しており、エルフの存在を完全に信じていたりとちょっと個性的な性格の持ち主でもある。

ウィル・フェレルは、いつもの彼らしいキャラで楽しませてくれる。いつもよりは抑えているが、『俺たち~』シリーズのようなお馬鹿キャラを彷彿させる。それでいていい歳して夢を追いかける男を愛らしく演じ、その純粋さに感動してしまう。
レイチェル・マクアダムスは本作でもかわいい。本作では美人なのに少々残念な女性を演じており、すっとぼけぶりがこれまたかわいい。残念ながら彼女の歌声は本職のアーティストと差し替えだが、それでもコミカルな演技と鳥肌もののライブパフォーマンスに十分満足。レイチェル・マクアダムス好きには嬉しい作品。

物語の舞台はアイスランド。北欧ミュージックの魅力に溢れている。牧歌的であり、なおかつクールな近年の北欧ミュージックの素晴らしさを堪能できる。冒頭の『ボルケーノ・マン』という曲もPVがめちゃ笑えるのに、曲はかっこいい。コンテストで披露する新曲はもう鳥肌ものだった。音楽だけでなく、アイスランドという国を勉強するのにも良い作品。風情があって美しい国だよね。エルフが存在するという話もよく分かる。自虐的なネタの数々は笑えるが、きちんとアイスランドの良さを表現していた。

演者の圧巻のパフォーマンスとハイクオリティな歌が魅力な作品性。ウィル・フェレル出演作らしい、笑えて楽しいコミカルさもウリ。なおかつ要所要所で観る人の心を掴む感動要素もちゃんとある。真面目な話かなと思いきや、突然脱線しだして「あれ?大丈夫かな?」となるのだが、しっかり感動させてくる。ベタなんだけどそれを丁寧にやっているのと、ベタでもしっかり人の心を動かす作り手側の力強さがあった。そして何といっても、優しく心温まる作品性なのが好き。想像してたより良かった。サントラ買っちゃおうかな。
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