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ヤクザと家族 The FamilyのRenのレビュー・感想・評価

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
3.5
直球なタイトルに任侠ものとしては少し変化球な内容。1999年、2005年、2019年の3つの年代でヤクザ社会を切り取った三部構成になっている。第一部は一人のチンピラがヤクザになるまで。第二部は彼が服役されるまで。第三部は社会復帰後の生活を。136分と長めだが、映画としての見せ場、面白さは十分用意されているので眠たくなることは全くなかった。

この作品を良作たらしめているのは第三部の存在であることは間違いない。SNSを絡めたところの展開は良かった。ヤクザがしっかり排他的な存在になっている時代性と相まって、ちゃんと令和の映画になっている。

罪人の更生と社会復帰という点で、同時期に公開された『すばらしき世界』と重なる部分が多い映画。そして言ってしまうと、今作よりも『すばらしき世界』のほうが問題への切り込みの角度は深いし、メッセージも強かった。
今作のヤクザに関しては、更生しようと前のめりになる意志、その中での葛藤が分かりづらい....。だけど今作のほうが、ジャンル映画(ヤクザ映画)としての面白さを見せてくれた点、関わる人・舞台・要素の多い点で、観賞中にぞくぞくしたりもしてしまった。時間が経ったらまた感想も変わるかもしれない。
そして2作はセットで観た方がいい。

今作に関しては尾野真千子と市原隼人がMVP。
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