【まとめシネマ】#622
【まとめ】
* 温かい人情と、残酷な現実
* 異色の組長、舘ひろし
* 僅かな威厳を、語り継ぐ
1999年、綾野剛演じる山本がある出来事をきっかけに、舘ひろし演じる柴咲率いる柴咲組と盃を交わすところから始まる。
やがて、山本はヤクザの世界で金も人情も恵まれ、自分の正義も通用するぐらい出世して、見てて少し憧れてしまうぐらい危険な誘惑が物語を香る。
しかし、ヤクザが衰退した2019年には、過去の過ちが生き地獄のように描かれる残酷な現実社会の後半戦に、苦しみの生き様を感じる。
本作で異彩を放つ存在なのが柴咲組の組長を演じる舘ひろし。
ヤクザと言えば、広島弁で喧嘩上等な怖いイメージがあるが、舘ひろし演じる柴咲は、ヤクザというよりマフィアに近い。ダンディーな色気と口調で独特の威厳を放ち、偉大な親父として、子分を心配し、愛する。ラストの儚さも、舘ひろしの人柄だからこそ生まれるシーンだ。
本作のラストが、忘れられない。
あの場所で残り続ける僅かな威厳を、何色にも染まってない彼らが語り継いでいく素晴らしさに、心が染みる。