でしょうかな

青春の殺人者のでしょうかなのレビュー・感想・評価

青春の殺人者(1976年製作の映画)
3.6
父親に幼馴染との交際を咎められた青年は、かっとなり包丁で殺害してしまう。その遺体を見た母親は遺体の処理を手伝うも、事態は段々と混乱していく。

市原両親殺害事件をモデルに中上健次が書いた短編、『蛇淫』を映画化した作品。
原作は青年の一人称視点、モノローグで進み、冷めた視点とガサガサした空気感が読み応えのある小説だが、映画は様々な描写を盛り込んでいき、結果、かなり別物でどこか異様な映画に仕上がっている。
青年は堪え性がなく、臆病で行き当たりばったり、そのことは本人も自覚して苛立っており、父親を殺し、母親も殺し、家と店を捨て、最終的には幼馴染も捨てる。そうして得た仮初の自由も長続きはしないだろう。しかし、なんだか悲壮感は少ない。トラックの荷台に乗り、夜風に吹かれるその姿からは、開放感が感じられる。
本作の主な登場人物は4人だが、ぶっちゃけ父親はあまりインパクトが無く、そして母親のインパクトが凄い。殺人のショックからか、母親と女の二面性がグチャグチャに入り乱れている。幼馴染の方も女という面を強く押し出したキャラだが、この母親の狂乱ぶりには敵うまい。
気になった点は、微妙に間の抜けた演出がちらほら、あと幼馴染役の声がガラガラしてるのですげえ鬱陶しいのが地味にキツい。
でしょうかな

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