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アンモナイトの目覚めのnori8のレビュー・感想・評価

アンモナイトの目覚め(2020年製作の映画)
3.6
タイタニックから24年…
実力派としての風格を備えた
ケイト・ウィンスレットの演技が秀逸。

女性の社会的地位が著しく低かった1800年代のイギリス。
世紀の発見も男性の手柄にされ
活躍の舞台を与えられなかった
化石の発掘・研究家。

ひょんなキッカケから
裕福な化石収集家の妻
シアーシャ・ローナン演じるシャーロットを
自宅に預かるも頑なに心を閉ざし
まったく笑顔を見せない。

自身とは別世界に住む
美しく可憐な女性への羨望と嫉妬。
そして、
報われぬ自らの境遇への絶望。

交わるはずもない2人が
互いの痛みを知った時、
堰を切ったように熱烈に求め合う。

心の欠片を補い合うように
距離を縮める2人。
壊れそうに繊細なその“距離感”を
最小限までセリフを削り
表情の変化のみで描ききっている。

特に、ケイト・ウィンスレットの口角の動き
そのわずか数ミリまで計算された
無言の感情表現に圧倒された。

「燃ゆる女の肖像」に続き
境遇のまったく違う女性の
“情念の交差”を描いた作品。

ラストシーン…
互いを無言で見つめながら
思いをぶつけ合う
はかなくも熱い眼差しに
身震いを覚えた。
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