けーはち

ラヴ・アフェアズのけーはちのレビュー・感想・評価

ラヴ・アフェアズ(2020年製作の映画)
3.0
作家志望の青年が従兄弟の田舎にやってきたら留守。彼の奥さんと「作品のネタに」と互いの恋愛遍歴を語り出すと、その内にムラムラ来ちゃって肉体関係に……

綺麗な景色とクラシック音楽を背景にオサレ会話をしつつ狭い人間関係で後先考えずドロドロ💕しまくるメロドラマ。んん、実におフランスらしい😘

劇中で重要になる考え方がルネ・ジラールの「模倣の欲望」である。「人間は他人の欲望を真似る」──イケてる有名人の持ってるブランドから流行が形成されるプロセスがそれだろう。隣の芝は青い、というが、人間は他人を通じてモノを見て、他人のモノは欲しくなるし、自分のモノが他人に欲されているのを確認することで自尊心を満たせる。それを男女関係に当てはめるとすると、寝取り/寝取られの快楽が生じる。

この無限地獄からヌケるには所有欲ではない「無償の愛」のステージに上がらにゃならんが、劇中大半の登場人物がそこへは行けず愛憎欲望🌀渦巻く中で耽溺。でもアッケラカンと割としつつ、まあマナーだからパートナーには隠しときましょ、とさも大人の態度でするのがフランス流。だってグジグジしても仕方ないもんな。

俳優はみな生き生きと魅力的だし爽やかな風光明媚の景色もいいが思想の出し方はそのままボロンとお出しするものだしロメールとかウディ・アレンとかに比してもお洒落ウィット足らずストーリーも筋悪くあえなく凡作の域か。