708

ラース・フォン・トリアーの5つの挑戦の708のネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

レトロスペクティブで日本初公開された作品。

ラース・フォン・トリアーが敬愛するデンマークの大監督ヨルゲン・レスに、彼の1967年の短編映画「The Perfect Human」のセルフリメイクを5本撮ることをオファーするという異色なドキュメンタリー。ただし、トリアーが毎回あれこれ条件や制限、難題を出して、ヨルゲン・レスを追い詰めて困らせます。トリアー、かなり意地悪いです。トリアーは国立映画学校でレスの講義を受けていて、つまり恩師と生徒という間柄だそうですが、学校でスターだったトリアーがレスの気を引こうとしたら無視されたんだとか。きっとこれ、その仕返しなんだろうと思えました。まぁ、ここまでできるのは、信頼関係があるからこそでしょうけど。

キューバだのムンバイだのでロケをして撮影して、4作目ではなんとアニメーション縛り。アニメが嫌いだと拒絶するレスに対して、自分もアニメは嫌いだとそのまま返すトリアー。レスは苦笑い。でも、このアニメが今回のリメイク作品の中で一番好きです。

4作目までレスに撮らせたところで、ラスト5作目はそれまでの4作を素材としてトリアー自らが監督をして、自分が書いたシナリオをレスに読ませてナレーションを入れます。結局トリアーは自分がレスに似た部分があるからということで、レスがつくったリメイク作品を通じて、レスに自分を重ね合わせながら自分自身と向き合い、内観しているかのようにも思えました。

だけどこれ、どこまでが本当なのかな。もしかして、すべてがレスと共に仕組んだ茶番なフェイクドキュメンタリーなんじゃないかなとも思えたりして。
708

708