けーすけ

おとなの事情 スマホをのぞいたらのけーすけのレビュー・感想・評価

3.5
月食が起きるある日、3組の夫婦と独身男性1人の7人がパーティーで集まった。彼らは年代も職業もバラバラだが、とある出来事で知り合ってから仲良くなり、毎年集まって親睦を深めていたのだった。
一番若い夫婦の妻は最近夫との関係に悩んでおり、先輩夫婦に「隠し事とかありますか?」と尋ね、みんなは一様に「無いことはないけど、知られても不都合な秘密は無い」という。じゃあ、とばかりに“スマホに届く電話・メールの内容は全員に公開すること”という恐ろしいゲームが開始されたのであった・・・







オリジナルは2016年にイタリアで公開され大ヒット。その内容の恐怖(笑)は人類共通だったのか、中国や韓国、フランスなど18カ国で次々とリメイクされ“世界で最もリメイクされた映画”とも。そんな映画が日本版としてリメイク。


オリジナルのイタリア版は2020年の10月に鑑賞し、コメディ映画なのにサスペンスか心理ホラーとも感じた内容にゾワゾワした事を覚えています。他人のスマホを覗き見るという、背徳感ある設定と巻き起こるドタバタが秀逸な映画です。

リメイクというとどうしても本家を越えられないのではないか、といった懸念や不安があるとは思いますが、個人的には一部を除き悪くはないリメイクだったと思います。

本作だけを観ても問題なく楽しめると思いますし、オリジナル版を鑑賞したあとでも面白いと思いますし、先に本作を観てからオリジナル版を観るという楽しみもできるかと。



この映画は登場人物が少ないものの、オリジナル版では登場人物の職業や関係性などを把握するのが少し分かりにくかったのが難点でしたが、本作ではテロップ付で名前などの紹介が。映画としてそういう見せ方はどうかという声もあるかもですが、基本会話劇なのでスっと把握できるのは好印象でした。

また、会話の中でのツッコミや独特の間(ま)、顔芸などは日本人キャストならではとも思いますので、そのあたりもオリジナル版より分かりやすくなっていたと思います。



オリジナル版から変わっていた部分として、このパーティーに集まった夫婦達が知り合ったきっかけがちょっと弱く無理やり感があったかな、と。冒頭に短く映し出される“嵐の中のコンビーフ”が彼らの出会いの象徴なのですが、中盤まで理由が明らかにされないので「なんでこの人たちは知り合ったのだろう??」という疑問がモヤモヤとなってしまったのが勿体ない。


あとは“携帯を見せあう”という提案もかなり唐突に感じ、言い出した向井杏役の木南晴夏が悪魔に見えました。笑
オリジナル版では男性キャスト達が幼馴染みという設定で「みんな昔からの友達だし、今さら秘密なんてないでしょ」という流れだったので一応不自然には感じ無かったのですが。

もう一つ、最年長夫婦には16歳の娘がいて、その娘は母親との関係がうまくいっていないという設定があり、オリジナル版だと娘と父親の会話が凄く良い内容でまさに白眉といえる部分だったのですが、まるっと残念な内容に変わっておりました。娘役は桜田ひよりでオリジナル版ばりに可愛らしかったのに…。


そして決定的な改悪(個人的感想ですよ)がラストの演出。
この映画、各々の秘密が暴かれて全くと言っていいほど救いが無いのですが、オリジナル版だと最後に「え?どういう事??」と一瞬ハテナを感じる仕掛けがあって、それがある意味で救いでもあったように思えた作りだったのに、本作ではまるっとありませんでした。


みんなのスマホに届いた通知や電話の内容から発覚して起きた出来事がヤバすぎたので、エンディングがありえない状況に見えて「こいつら全員頭おかしい」と笑えたラストになったのが残念な部分。
リメイクという事で思い切って変えた部分なのかもしれませんが、ここはオリジナルに忠実でも良かったかな、、、と。




舞台挨拶という事で東山紀之さんを初めて生で見たのですが、「背ぇ高い!顔ちっさー!!細い!!!」と恐ろしいかっこよさでした。
そんなめちゃめちゃにかっこいいヒガシですが、本作ではちょっとドジでナヨっとしたキャラを演じていて、それが恐ろしく可愛いんです。ほんと役者って凄いな…って思いました。ヒガシファンはメロメロになっちゃうんじゃないでしょか。
本作で演じるまでガラケー使いだったらしいですが、これを機にスマホデビューしたという話と「(スマホの)文字が小さい…」と嘆くヒガシに「大きくできますよ!」とツッこんだ鈴木保奈美さんのやり取りが面白かったです。



気になる部分はちょいちょいありましたが、それなりに満足度は高い映画でした。



オリジナル版感想
https://filmarks.com/movies/70314/reviews/99037770



2020/12/21(月) 完成披露試写会にて鑑賞。有楽町朝日ホール J-22
[2020-184]
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