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ウルフウォーカーのTenKasSのレビュー・感想・評価

ウルフウォーカー(2020年製作の映画)
4.5
トム・ムーアは相変わらず最高。
凄くハイコンテクストでハイスピード。
テーマ自体を抜き出せば若干見飽きてきた感じもする。ただ、サブテクストがとにかく多彩。にも関わらず詰め込みすぎてる感じは余りしないのが凄い。通奏低音として、「人間とその社会は傲慢で他を支配したがり、それでいて欺瞞に満ち自らを高潔だと信じている」とでも言うようなかなりどんよりした感情がある。

ある種のヴァンパイアものなので噛んだ側と噛まれた側の間に特別な関係が生まれる。それがシスターフッド的だったり、結果主義的な社会構造の中で犠牲になる男を救ったり、孤独な人たちを結びつけたりする。

画面の情報量が半端ではなく、アニメーションを見ているのにも関わらず「ちょっと今の絵じっくりみたいから止まってくれ」と思ってしまうほど綺麗。呆れるほど綺麗なのにすぐカットしてしまうので、もしかしたら1秒間も映ってない絵もあるのでは…。字幕読むための視線移動さえ勿体ない。
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