ドント

ほんとにあった!呪いのビデオ 89のドントのレビュー・感想・評価

-
 2020年。最低です。本当に。カタカナの「サイテー」ではなく、「最低」。ほん呪の歴史を何だと思っているのか、と言いたいのはこっちです。以下1500字を使って非難していきます。長くてすいません。
 まず短編は全面的に小粒であります。比較的長く前フリをもってきた「棲みつくもの」はそのフリにしてはさほどの怖さではないものの、雰囲気はあってよかった。天井裏というのはいいですね。ビックリものの「繰り返される死」は、段取りの丁寧さと不条理感も好ましかったです。
(…ここから非難…) 
 さて、新人AD上田がやらかして、さぞかし胸糞悪い代物をお出しされるのであろうなぁ、上田はバチが当たって腕がもげたりする流れやろなぁ、と危惧していた長編ですが、危惧以上に胸糞悪く、大変に不快な思いにさせられました。
 特に「多くの人が関わって頑張って長年作ってきたものなのに、そういう倫理にもとるようなことをして。面白ければそれでいいのか」などと川居が上田に説教をするシーン、端的にここは、安易で卑怯で卑劣だと思います。
「最近のほん呪、つまんないじゃないッスか」「面白くなればいいでしょ」と言い、ネットで悪口を書き、無断で取材をし動画を撮影し、それを軽薄な独白動画と共にウェブに上げる。怒られても悪びれないで半笑い。
 こういう実にわかりやすい、ムカつく奴をそのように叱る。ご丁寧にもずらりと並ぶDVDの背の映像をインサートしながら。そこに20年の重みはありません。2巻前にポッと出てきた嫌なキャラを叱るために、歴史を人質にとっているようなものです。
 しかも上田の関わるパートは長編の本筋とはほぼ関わりのない部分であり、本筋がそれなりに興味深く、練り上げれば結構なものになりそうであったのに、上田の悪行にあらかたインパクトをもっていかれる。本末転倒とはこのことです。
 いったい監督は何がしたいのでしょう。 
「とにかく面白ければいい」と思っているのは上田ではなく制作陣の方ではないですか。怖いもの不気味なものをやり続けて20年の歴史を足蹴にしているのは上田ではなく制作陣の方ではありませんか。「多くの人が関わって頑張って作ってきたもの」を「今」、面白くできていないのは制作陣の方ではないでしょうか。
 ビデオや投稿者周辺の人間関係が生み出す怖さなどは二の次、嫌な悪い奴を出して、そいつにかき回させる。それがほん呪の「面白さ」だと言うなら「そうですか、私の知っている20年の歴史のあるほん呪はそういうんじゃなかったですけどね」と答えるだけです。過去変な人も頼りない人も出て来、正直ウ~ンとなる時期もありましたが、こういう「悪役」でどうにかしようという不誠実な作品はなかったと断言できます。 
 この路線変更?が監督が代わってすぐだったのなら「なるほどね、そういう感じなのね」とある程度納得もできましょうが、上田は2巻前から急に登場したのです。ストレートも変化球も投げれないので、競技自体をなしにしようとするような愚挙です。しかも過去のスタッフ川居さんまで引っ張り出して。一体これはなんなんでしょう。本当に。
 監督交代からの批判の多さへの仕返し、あてつけとして、文句を言う視聴者の分身のようにAD上田のような奴を登場させたという考えも浮かびましたが、これは私の過度な被害妄想として退けておきます。でもこれだけ怒っても「その反応も全部自分の手の平の上、想定内、怒りもまた来てエンタメ」とはおっしゃるかもしれませんね。そうですか。よかったですね。
 90巻以降もこの監督が続投するかどうか、どうなっちまうのかは知りませんが、代わろうと代わるまいと私はきちんと、真っ向から、しつこく「面白いか」否かを観ていきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。観てやるぞ。観て書いてやるからな。
ドント

ドント