どうせなら君が私を知らないうちに
私が知らないところへと君を連れ去ってほしい
必ず迎えに来るなんて
果たされない約束を待ち続けた僕は39人の方で
生まれてきてよかったのだろうかと問いかけて
自分が何者かで居られる場所を求めている
こんなにどうしようもない日には
目を瞑った世界の中を漂って
昨日までの自分を洗い流していく雨に打たれていたい
だけど起きても土砂降りは続いていて
自分は自分のままでしかないことに気づく
雨が降ったら傘を持って迎えに来てね
取れかかったボタンは縫っておいたから
この服を着てまた帰っておいで
忘れないでね、忘れないから
生まれてくれてありがとう
感想です。
是枝監督の新作に、ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、ペ・ドゥナ、イ・ジュヨンが出てるって、とんでもない布陣ですよね。期待値爆上がりで特大のハードルを設置して鑑賞に臨んだ本作、、、ん?これ、面白かったのかな・・・。
IU演じるソヨンが、裏で起きている出来事に関与しているのは火を見るよりも明らかだったので、映画的な驚きはそこ以外の場所にあると期待していたのですが、サプライズ的なことはその他には起きず、あんまり可愛くないやんちゃ坊主がのびのびと演技していて、流石は是枝監督だなと思っているうちに映画が終わりました。
羽星(ウソン)が海進(ヘジン)してる!と思って、ふふっとした瞬間はありましたが、終始特に起伏を感じないストーリーで、分かりきった結末へ向かって、ほんの少しのサプライズを散りばめながら、淡々と進行していくだけの退屈な作品に思えました。
それでも、実はとてもいい映画だったのではないかと考えさせるキャストの演技だったり、監督や撮影監督の画面作りは素晴らしいのですが、考えても考えても映画としての意外性も物語の巧みさも思い浮かばず、とても映画的な予定調和で着地したなぁという印象止まりでした。
そもそも話の重心がブローカーなのか、母親なのか定まっていない感じがしたのは気のせいでしょうか。どんなにいい感じの場面があっても、「ゆーて、こいつら売ろうとしてるからなー」という引っかかりが終始頭の中でプランプランしていて、"ドント・ブリーズ"に乗れなかった人はこういう感情だったのかと思い知りました。
ここのところ渋い評価が続いているのは、本当に作品が合わなかったのか、自覚なしで体調を崩しているのか・・・是枝作品で、こんなにも心が静止した状態で鑑賞を終えたことに、とてつもない不安を感じる今日この頃でございました。