ぐら

Nimic(原題)のぐらのレビュー・感想・評価

Nimic(原題)(2019年製作の映画)
3.9
ヨルゴスのショートムービー発見したので鑑賞

自分の人生を辞めて“身代わり”に自分の人生を代わってもらう
Do you have the time?
と問いかけられてしまうと契約が成立する(多分問いかけに反応してしまった時点で逃れられない契約)
自分の人生の身代わりをみつけたのに、また誰かの人生の身代わりになる、輪廻
人生うまくいかないし、やったことって返ってくるね
もはや初めの立ち位置も初めからその人の人生だったのかも怪しいと思い始めてしまうけど、周りの反応とか、女性が付いてきたことに怯えてたから、初犯(?)ぽい
都市伝説みたいなものを試してみたら本当にそうなった、みたいな感じなのかな

そしてやっぱりオープニングやエンドロールの文字たちもこの人の作品

文字がひとつずつ消えてるのではなく、下の段に落ちる(上の行のフォントのまま)

オープニングのYOROGS LANTHIMOSから一文字ずつ落ちていく
NIMICのiが小さいのは上から落ちてきた文字
一文字ずつ抜けて入れ替わり、次に進んでいく、ストーリーと同じように、このままストーリーが続いていくと言わんばかりのエンドロール
明らかに一文字消えているのに、何が消えたのかわからなくなる
あのお父さんだった人が消えても周りは“何が”消えたのかだんだんわからなくなるような感覚
そう感じる感覚がストーリーの続きのようで気持ち悪くて良い

タイトルのNIMIC(NIMIC:ルーマニア語で何も〜ない、何でもないという意味)
人は“人生というストーリー”の入れ物で入れ替わったりするくらい空っぽの入れ物ってことなのかな、と1回目見た時は思っていたけど、2回目見直してみた時にオープニングとエンドロールの文字が消える(一文字ずつ下にずれている)ことに気が付いてからは、誰かが消えても何も変わらない日常があるということなのかも、と思い直した


同じ監督の作品って4つくらい作品見てやっとその監督や監督のやりたいことがわかる感じがする
音楽と構図で不安定をつくる
音楽とカメラワークのせいで普通の日常っぽい時間がもうすでに普通ではない
登場人物の表情や目線も不自然、人らしくない(この違和感は聖なる鹿殺しを見た時に感じた強い違和感と同じ)
音楽とシーンが合ってない(よく出てくる対位法の逆っぽい)
そして後味に黒い影を残していく終わり方
ハッピーエンドではもちろんないけどバッドエンドというほど結論を出してない、これからバッドエンドになっていくであろう終わり方
ぐら

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