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怪獣映画の夜明けのtetsuのレビュー・感想・評価

怪獣映画の夜明け(2019年製作の映画)
3.8
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 オフィシャルセレクションの配信にて鑑賞。

怪獣映画のファンでもあるスペイン人監督が、世界中の製作者・俳優・専門家にインタビューを実施して制作したドキュメンタリー短編。

関係者のインタビューと過去の映像などが続く、安定のドキュメンタリー作品ではありながら、怪獣映画の本質を考える上で、かなり意義深い作品だと思った。

ところで、本作で取り上げられた『ゴジラ』の魅力には、大きく分けて、2つの側面があると思っている。

ひとつは、怪獣同士が戦い、町を壊すビジュアルとしての「怪獣プロレス」の面。とりわけ、シリーズの大多数は、この部分が強調され、世界的に広く知られているのも、この部分な気がする。

しかし、個人的に好きな部分は、もうひとつの面「現実社会の風刺」というところ。

終戦直後の空気を残す1954年に産声をあげ、東京大空襲のあとをなぞるように、町を破壊した大怪獣・ゴジラ。

当時の水爆実験への問題定義や公害問題、冷戦問題や非核三原則、『シン・ゴジラ』では、311と原発事故の影響をモチーフにしており、今回のドキュメンタリーは、その点がしっかりと語られていたところが良かった。

宝田明さん(初代ゴジラ主演)に、中島春雄さん(ゴジラスーツアクター)、金子修介監督(平成ガメラ&ゴジラのシリーズ25作監督)、大森一樹監督(vsシリーズ監督・脚本など)、川北紘一監督(vsシリーズ特技監督)、そして、樋口真嗣監督(『シン・ゴジラ』特技監督)など、ファンには、たまらない人物に、しっかりと話を聞いているところも、かなり、良かった。
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