はる

ザ・スイッチのはるのレビュー・感想・評価

ザ・スイッチ(2020年製作の映画)
4.0
今作のことは去年の年末に知って、そのときはドラマ『天国と地獄』の放送を控えていたので面白い一致の作品だなと思っていた。残念ながら上映延期によって放送時期と重ならなかったが、ドラマが盛り上がっただけにもったいなかったなと思う。
こちらは正真正銘のシリアルキラーと入れ替わるわけで、ドラマを観ていた者にとってはその違いも楽しめる。

ミリーの登場が目覚ましを止めるところから始まるが、これは監督が『ハッピー・デス・デイ』を撮ったクリストファー・B・ランドンなので笑える。もちろんループものではないが、主人公にこれから災厄が訪れることは変わらない笑。
今作の魅力はブッチャーが入ったミリーの行動だろう。彼が誰を殺していったかを考えると彼の過去がうかがえる気がする。珍しいなと思ったのは、こういう作品でキラーの素性のようなものが表現されるところだ。ブッチャーの中に入ったミリーが目覚めると、そこにクスリを求める男が現れて、というくだりがあって彼の普段の生活が垣間見える。

彼がどうしてあのような生活に至ったのかはわからないが、憎悪の対象が誰たちなのかはよくわかる。体力的な不利を感じたブッチャーはあのアメフト部員と入れ替わろうとする。しかしそこで3人がかりで犯そうとする連中を見たときのブッチャー(キャスリン・ニュートン)の表情がどこか悲しいと思った。
このときの彼は「女にとっての生きづらさ」を思い知らされたのだ。そこで入れ替わりをせずに奴らを血祭りにあげたのは、ミリーへの同情もあったと思う。だからラストでわざわざミリーの家にいったのは憎しみからではない気がする。

今作の「スイッチ」はミリーとブッチャーの内面の変化のことだと感じるし、ブッチャーはバーニーに戻ったのかもしれない。
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