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シングルマンのruublueのレビュー・感想・評価

シングルマン(2009年製作の映画)
3.7
シングルマン
視聴11月18日

英国王のスピーチ以降、気になっているコリンファース。今作はコリンファースとデザイナーのトムフォードがタッグを組む、ゲイの映画という事ですがコリンの映画を観たい思いの方が勝ちました。


ストーリーはとてもシンプルです。ある事情を抱えて、この日1日を精一杯生きると決めたコリン演じる大学教授、ジョージが自分の生活圏を一巡します。最後の勤務、昔恋人同士だった女性との再会、十数年間一緒に暮らした彼と出会った懐かしい場所に立ち寄った後、追って来た教え子との夜の海。静と動が上手く響きあう映画です。


映画の種類上、男性から見た男性美にカメラはフォーカスして行きます。カメラワークにトムフォード目線が入っているのでしょうか。普通の何気ない日常も、その道の方のはこんなスリリングな死角を見出せるものでしょうか。息苦しい迄に濃密なカメラワークを始めて味わいました。

ですが英国紳士コリンファースが演じるだけあって映画を通して上品でマイルドな空気が有り、女性が見ても違和感は無いのではと感じました。


新鮮なのは60年代文化。ジョージ教授が通勤に使うクルマや自宅の建築様式、インテリア。「今日はどちらにお出かけです?」隣人を思いやる細やかな感情や見つめる眼差し。全てに柔らかい手触りを感じました。デジタル化した最近の映画の対比として扱われる事の多い60年代文化は目に心地良く映ります。今の時代から見た60年代の空気、他の映画にも見つけてみたいですね。
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