ろ

女は女であるのろのレビュー・感想・評価

女は女である(1961年製作の映画)
4.5
「みんな、自分のことだけよ」
「でも、なんとかなってる」
「そうなの、だから悲しいの」

赤、赤、赤。
横から流れてくる文字。
止まってはまた流れ出す音楽。
ゴダールの抜群のセンスに、終始圧倒されっぱなしでした。


今日は七夕ですね。
みなさん何かお願い事しましたか?

この物語は「子どもが欲しい」と願う女性アンジェラの話です。
大きなマクラを赤いカーディガンの中に入れて、鏡の前でポーズをとる。
アンジェラは恋人に言います。「子ども、作らない?」上目遣いで、おねだりモード。
恋人のエミールは困惑しますね。
「どういうことだ?そう焦るな。いったい全体、何がどうなってるんだ?」

なかなか自分の望みを叶えてくれないエミールに、アンジェラは怒る。
「愛してくれてると思ってた。でも愛していないのね」
2人はケンカしてしまいました。

ナレーションが語ります。
「エミールとアンジェラは愛し合っているが故に、二人にとってすべてがまずくなりそうだ。やりすぎても大丈夫と思うのは間違い。たとえ二人が永遠に愛し合っているとしても」

2人のケンカはとても可愛らしい。
口をきかない2人は本のタイトルで会話するんです。
夜、ベッドから出て本を物色。
タイトルを見せて、悪口を言い合う。
「ペテン師!」「小魚!」「ミイラの悪臭!」
「すべての女に・・・死を!」


好きなシーン。

エミールの友人アルフレードもアンジェラを愛している。
2人がカフェで会った時に言葉を交わす。
「遅れちゃって。ずっと待ってたの?」というアンジェラに、タバコをふかしながら「27年前からね」と答える。
ちょっと哀愁漂うアルフレードが、たまらなくイイんですよ。


さらに、今作にはいくつかの映画のタイトルが登場します。
トリュフォーの「ピアニストを撃て」「突然炎のごとく」(ジャンヌモローがカメオ出演)、バートランカスター出演の「ヴェラクルス」。
極めつけはアルフレード(ジャン=ポール・ベルモンド)が「テレビで放送される『勝手にしやがれ』観なきゃ!」って言う場面。
ベルモンドがこのセリフ言ってるってだけで、ニヤニヤしちゃう。


「これは悲劇かい?喜劇かい?」
「喜劇か悲劇か分からなくなったが、ともかく傑作だ!」
ろ