ひでやん

オールドのひでやんのネタバレレビュー・内容・結末

オールド(2021年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

老化が急速に進む謎のビーチに閉じ込められた家族の恐怖を描いたタイムスリラー。

このシチュエーションは斬新。ビーチが舞台なのに人を喰うサメは出ず、年を食う人。舐め回すようなカメラワークや、顔を映さない視点で恐怖を煽るのが巧い。得体の知れない何かに対してじわじわと恐怖が迫ってきたが、その「何か」はタイトルが示しちゃってる。

白人、黒人、ラテン系にアジア系という老若男女の人種をビーチに閉じ込め、1日で一生分を描く発想がいい。急速な時の経過に体が順応できなかったり、病気や怪我の急速な進行、治癒を描いたり、聴覚や視覚の衰えを描いたのも良かった。人は皆いつか老いるが、それが1時間に2年分老いたら怖いな…。30分経ったら「バッドバースデートゥーユー」だもん。

バダバタと人が死ぬ恐怖だけに留まらず、キャパ一家の両親に流れる優しいひとときにジンときた。喧嘩、怒り、離婚…そんなものはどうだっていい、と時の経過が思わせてくれる。夫のガイが最悪な場所を「いいところだ」と言ったシーンが良かった。で、「なんのために?目的は?」というオチなのだが、真面目過ぎたかな。犠牲の上に成り立つ命っていうちゃんとしたオチをつけたので、ドンデン返しの衝撃もなく「なるほど」で終わった。

例えば、ラストで死んだ(フリしてた)人が全員登場して、6歳のトレントと11歳のマドックス(本物の子供)と、思春期のトレントとマドックス、大人のトレントとマドックスを演じた偽物も登場して、離婚の危機に瀕した両親を仲良くさせるためのドッキリで、テッテレ〜の方が驚いた。シャマランには、これくらいの事をやってほしい。
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