鷲尾翼

ビリー・アイリッシュ 世界は少しぼやけているの鷲尾翼のレビュー・感想・評価

4.0
【まとめシネマ】#380

【まとめ】
* ごく普通の10代の女の子
* 恐ろしく響き、追い詰めるサウンド
* これからの音楽業界が変わる予感

試写会で鑑賞。

※映画館での劇場公開は6月25日(金)だが、現在Apple TV+で配信されている作品なので、今回はその点も踏まえながら感想を話したいと思います。

本作はビリー・アイリッシュ が2015年にネット上に「Ocean Eyes」をアップして注目を集め、2019年3月にデビューアルバム「WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?」をリリース、翌年のグラミー賞で主要4部門含む5部門を受賞するまでを記録したドキュメンタリー作品。

彼女の家庭は音楽が身近にあり、特に兄のフィニアス・オコネル は彼女の楽曲サポート、プロデュースも手がける。彼女も音楽の才能やこだわり、トゥレット障害(チック)に苦しむ姿もあるが、全体的な印象としてごく普通の女の子に思える。

憧れのジャスティン・ビーバーと初めて対面した時は誰よりもピュアなリアクションだったり、家族との良いところも言い争う瞬間も身近な家族のワンシーンに思える。何よりある日突然スターになった葛藤や悩みがどこか親近感が湧く。

本作は映画館で観るべきメッセージ生がある。
彼女の楽曲はダークな重低音が特徴的で、その良さを映画館のスピーカーで存分に味わえる。また、ファンや人間関係に対する悩みを打ち明けるシーンの「ビリー!ビリー!」という大歓声が時にうるさく感じる。それが彼女の苦しみだと感じると、映画館で観る価値がある。

本作は彼女のわずか5年間の歴史だが、その中には音楽業界の常識とは違う瞬間も多い。特にベッドと机でギュウギュウの兄の部屋で歌声を収録している風景を見ると、近年の日本の音楽文化にも通づる変化を感じる。
鷲尾翼

鷲尾翼